中間層、地方へ拡大 投資目的から「実際に住む家」へ YKK・AP 幹部インタビュー
YKKグループ建材部門の現地販売・製造法人YKK・APインドネシア幹部は25日、じゃかるた新聞に対し、近年の市況と今後の展開について説明、投資目的ではなく実際に住む家を求める中間層や、高級住宅の需要も高まる地方での展開が今後の課題と明らかにした。
今月帰任する玉井正昭社長や4月に新社長に就任する山内康史氏、日本本社の高橋純一・副会長がじゃかるた新聞の取材に応じた。
玉井氏は2012年4月、社長に就任した。7年間でジャカルタ特別州を中心としたアパートメントの建設が盛り上がり、「前任までは高級戸建て住宅がメーンだったが、高級高層コンドミニアム(集合住宅)が非常に増えてきた」と指摘する。14年から高層対応の窓「ネクスタ」を投入、高いシェアを獲得するなど市場に対応してきた。
一方で高層アパートメントの建設については、「12~14年が一つの大きな山だった。諸外国の不況の影響を受け15年に落ち込み、16、17年に少し回復してきたが、17年後半から大統領選の様子見、税制の変化で停滞している形。非常に激しいサイクルにいたな、というのが実感」と振り返った。
今後については「これまでは(ジャカルタを中心に)ミドルアッパーからハイエンドまで、市場の10%ほどで30年間やってきた。これからは中間層、一般の人の方も向いていかないといけない」と話した。近年は中間層の戸建て住宅の窓枠のアルミ化率は上がってきており、地方では高級住宅の需要が高まっていると感じる。依然として住宅需要が高い国内市場に期待する。
新社長に就任する山内氏は「今までの高級ゾーンを強化しつつ、ミドルまでをどれだけ広げていけるかが私のミッションでもある」と話す。現在はジャカルタや東ジャワ州スラバヤ市を中心に事業を展開しているが、今後国内の地方都市にまで視野を広げ事業を進めていくとした。
山内氏は「ミドルは投資目的でなく、実際に住む家を作る。そういった事業をやっていかなくてはいけない」と意気込む。ただ国内の中間層へ普及させるには、「これまでの品質だけの頭ではついていけない。どうしてもコストが関わってくる」と指摘し、中間層への普及商品の開発に今後も思索を続けていくとした。
高橋純一・副会長は昨年開設した研究開発センターに期待する。AP事業の海外販売は現状15%ほどにとどまり、米国、中国が中心だが、インドネシアに対応した商品の開発で、気候が近い東南アジア各国への展開を強化できると指摘した。(大野航太郎、写真も)
◇ たまい・まさあき 1963年11月2日生まれ。87年YKK・AP埼玉に入社、01~04年台湾現地法人で勤務、12年4月から現職。
◇ やまうち・やすし 1969年3月3日生まれ。92年YKK・AP兵庫に入社、18年4月からYKK・APインドネシアのマーケティングディレクター、19年4月同社社長就任予定。