容疑者逮捕までモスク閑散 栃木のインドネシア人襲撃 「NZ」を一時警戒
栃木県佐野市で17日にインドネシア人の技能実習生の男性(20)がモスク「マスジド佐野」に向かう途中、日本人の男に襲われて負傷した事件で、18日夜に男が逮捕されるまでの間、いつもは実習生らでにぎわうモスクは閑散としていた。礼拝者らは、多数のムスリムが標的となったニュージーランドの銃乱射テロとの関連も心配し、警戒していたという。モスクの管理人のイ人のラフマト・オイエさん(41)が19日、じゃかるた新聞の取材に応じ、事件の様子を語った。
ラフマトさんによると、男性は前から来た男に、先端に刃物のようなものが付いた棒を顔に向けられた。男性が手で棒を遮ろうとしたところ、刃物が左手を貫通し、唇にも擦り傷を負った。棒の先端はレジ袋で覆われ、当初、刃物が付いているとは思わなかったという。
当日はモスクで結婚式があり、多くのムスリムが集まっていた。男性がモスクに着くと、集まっていたムスリムたちが、逃げた男を捕まえようと周辺を捜索したが、見つからなかった。
ラフマトさんが事件のことをフェイスブックに書くと、15日にニュージーランドのモスクであった襲撃事件との関連を心配するコメントが寄せられた。事件の翌日から、男が逮捕されるまで、いつもはイ人実習生でにぎわうモスクは、数人しか集まらなかったという。
ラフマトさんは、「この地区は市役所を含め、みんな優しくオープン。容疑者が近くの人だと知って、驚いた」と話した。18日夜には、逮捕を受け、モスクで「安心してモスクに来てください」と伝えた。「全国でもモスクに行くことに、心配をしている人がいるかもしれない。逮捕されたので、もうモスクに来ても安全です、と伝えたい」と話している。
事件は17日昼に路上で発生。18日夜に佐野署が、傷害の疑いで近くに住む無職島田秀史容疑者(41)を逮捕した。島田容疑者は容疑を否認しており、現時点では銃乱射テロに関連する供述もしてないという。(木許はるみ)