日系シェア減退見通し 国内自動車市場 10年間で5%減 三菱UFJ銀講演会
三菱UFJ銀行は13日、中央ジャカルタのアヤナ・ミッドプラザ・ジャカルタホテルで開かれた経済講演会で、2016年から25年の10年間でタイ・インドネシアの自動車市場における日系企業のシェアが、わずかずつ退潮する局面になる見通しを示した。
「自動車業界の動向」について、同行の小田裕之戦略調査部長と山口崇上席調査役が講演した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)内主要国の自動車販売台数は、16年の300万台から25年は440万台まで伸びる見込みだが、欧州や中国、韓国メーカーの進出強化により、シェアはインドネシアでは98%から93%、タイでは87%から83%まで後退するという。
山口氏によると、現代自動車はベトナムで5万台レベルの生産能力を備えるなど勢いをつけており、インドネシアでも能力増強の動きがある。
各国メーカーとも、電気自動車や通信機能を備えた「コネクテッドカー」の普及について、まとまった台数の商機があると見ているという。
■ルピア下落は緩やか
経済講演会では「安定を取り戻したルピア」と題して、ジャカルタ支店の西仲崇行副支店長も講演し、貿易赤字に陥った2018年を振り返り「ことしも貿易収支の傾向は大きく変わらない」予想を示した。
一方で米国金融政策の転換、利上げペース予想後退により、ドル金利先高感がしぼんできたことで、「インドネシアの証券投資によりお金が入ってきやすい状況になった」と指摘した。
金融政策については、景気上昇ペースやインフレが低調で安定していることから「政策金利を上げる状況ではない」と指摘した。大きな政策の混乱がなければ、ルピアの下落は緩やかという見方から、ことし第4四半期の為替相場は1ドル=1万4200~1万4800ルピアの範囲に収まる予想を提示した。(平野慧、写真も)