アチェで「人生変わった」 来年アジアツアーで再訪 ディーン・フジオカさん
盛況のうちに閉幕した日本映画週間のため来イしたディーン・フジオカさんは16日、中央ジャカルタ区メンテンでじゃかるた新聞の取材に応じ、主演映画「海を駆ける」の撮影で1カ月ほど滞在したアチェで「人生変わりました」と話した。2019年は自身初となるアジアツアーでジャカルタでライブを敢行する計画を立てており、準備の真っ最中だと明かした。
19年1月に国内配給予定の「海を駆ける」は、日本映画週間がインドネシア初上映。日イのクルーが17年8月から約1カ月、04年スマトラ島沖地震・津波の被災地アチェ州バンダアチェと旧日本軍のトーチカ(防御陣地)が残るサバンの両市で撮影した。
アチェは初めてで「あんまりなじみがなかった。怖いイメージがあったが、行ってみたら全然そんなことなくて。クルーの中にもアチェの人たちがいて、みんなすごい素敵な人たちだった。優しくて大らかで」とディーンさん。
「もちろん街には津波の爪痕みたいなものがあるし、でも、達観しているというか、前向きな人たちばかり。映画の中でも触れられている部分ではあると思うが、すごく魂の深いところで、こういう自分と世界、自分と外の世界との接点の持ち方を気付かされた感じ」と印象を語る。
ずっと飲めなかったコーヒーも克服。「(アチェ産コーヒーの)アチェガヨが素晴らしいなと思った。アチェの現場スタッフはみんな粉にお湯を入れてそのまま粉ごと飲んでいた。最初は半ば無理やりというかイヤイヤ飲んだが、すごくおいしかった」と振り返る。
「それで、人生変わりましたよね。良さがわからなかったものを好きになれたことで、人生の豊かさにつながったと思う。好きなことが一つ増えるって大きな変化だと思うから、そういう意味で、ライフチェンジングな経験ができた。(アチェは)コーヒーしかり、新たな気付きが生まれたところ」
中華圏、日本、インドネシアを行き来しながら、ミュージシャンや俳優、映画監督などマルチに活動。初めてジャカルタに来た08年から10年が経ち「いろんな国の人と感性を持った人が行き来し、ジャカルタのカルチャーの独自性が見られるようになった」と、クリエーティブな業界に身を置くからこそ感じる変化を指摘する。
「10年前に感じたいろんな可能性が現実味を帯びてきて、目の前に出てきてて、今後の変化が楽しみだなっていう、さらに前向きな気持ちになっている。縁もつながりもあるし、話したいストーリーもあるし、たくさん。そういうのをひっくるめて自分の音楽を届けるというかたちで、ジャカルタに、インドネシアに何か返すことができたらいいなと思っている」
19年1月30日発売のセカンドアルバム「History In The Making」は、海外からも定額制音楽配信サービスで視聴可能。アルバムを引っさげてのアジアツアーをジャカルタで敢行するため、現在「仕込み」を続けている。(中島昭浩、写真も)