ルピア相場 軟調で推移 みずほ銀講演会 富裕層の資金流出も
インドネシアみずほ銀行は5日、2019年のルピアの対ドル相場がやや軟調で進み、19年末には1ドル=1万4500~1万6千ルピアの範囲内になる見通しを示した。米国の連邦制度準備理事会(FRB)の利上げ路線は年中盤ごろまで続き、通貨防衛の必要性から年間1、2回の利上げに追い込まれる見通しを示した。
中央ジャカルタのホテル・インドネシア・ケンピンスキで開かれた、日系企業経営者らを対象にした講演会「みずほ会」で、みずほ銀行シンガポール支店アジア・オセアニア資金部の河合良介氏が明らかにした。
また、ことしのルピア安の原因について、海外投資家の売りよりも、経常収支赤字と関連した実需による動きや、富裕層の個人資産の流出が進んだことが大きい可能性を指摘した。
従来は所得収支が常に赤字であるのに対し、貿易黒字で抑制してきた。原油価格上昇などにより経常収支赤字は悪化し、ルピアは20年ぶりの安値を記録した。
10年国債の利回りは国債が買われた年初は6・1%近辺まで下がったが、金利上昇と連動して9月には9%近くまで上昇した。海外投資家が買いに走ったことにより、最近のルピア安を演出しているが、「あくまで値ごろ感からの買いで、この流れが続くとは考えていない」との見通しを話した。
2018年1月時点で1300億ドル水準まで積み上げた外貨準備高についてはルピア防衛のために減少を続け、「心理的ラインである1千億ドルが見えてきており、資金が潤沢とは言えない」と指摘した。
19年4月の大統領選の見通しは「ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の勝利が既定路線で、相場への影響は限定的」と語った。プラボゥオ氏が勝利した場合、政策実現性への懸念から「ルピア売りにつながる可能性がある」と話した。 (平野慧、写真も)