「無事を祈っていてね」 機内からメッセージ 夫の帰り信じる
「パパはもう飛行機にいるよ。もうすぐ離陸だ。パンカルピナンまで、無事であるように祈っていてね」。29日午前5時38分、西ジャカルタ区マンガブサール在住のリディア・レフィナさんは、ライオンエア機に搭乗した夫のルドルフ・サイエルスさん(58)からチャットアプリ「ワッツアップ」でメッセージを受け取った。機内で着席し、出発を待つ夫の自撮り写真も一緒に送られてきた。その航空機が海上に墜落したのは約1時間後のことだった。
ルドルフさんはマルク州アンボン出身。会社ではマーケティングマネジャーを務め、パンカルピナンに出張するところだった。
「昨日も一緒に教会に行ったのに」。夫妻は熱心なキリスト教徒で、ルドルフさんは教会の礼拝やミサで演奏するミュージシャンだった。日曜礼拝に参加したのは事故前日の28日。「その日の夜、聖書を読んだ後に言ってくれたんです。私たちを引き裂くものは何もない。だから、あなたと私は死ぬまで一緒だよって」。夫の言葉がよみがえった。
29日午後、東ジャカルタのハリム空港で肩を寄せ合い待つリディアさんら親族6人に、8人の遺体が見つかったとの知らせが入った。だがルドルフさんの消息はまだわかっていない。「7列目の座席に座っていた。前の方だから、夫は機内に残っているはず。まだ夫が無事であると信じている」と声を震わせた。(木村綾、写真も)