誇れるインフラ開発 ジョコウィ政権4年 佐藤百合 ジェトロ・アジア経済研究所理事

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権が20日、発足4年を迎える。来年4月の大統領選挙戦もスタートする中、任期5年の仕上げに向けたこれまでの政権の仕事ぶりについて、2人のインドネシア専門家に寄稿してもらった。日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所理事の佐藤百合さんと早稲田大学大学院アジア太平洋研究科准教授の見市建さんの寄稿を2回にわたって掲載する。
 ジョコウィ大統領は、政権4年目にして大規模な国際的イベントを成功させ、大いに自信をつけたようにみえる。国際的にインパクトがあったのは、今月バリで開催されたIMF・世界銀行年次総会。予想を超える3万6千人以上の参加者があった。外国要人を前にしたジョコウィの開会演説はかなりの評判を呼んだ。人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」になぞらえて、大国同士が勝敗を争っているうちに悪魔の冬がやってくる、異常気象や環境破壊に立ち向かうには対立でなく協働を、と呼びかけて、米中2大国を暗に批判した。
 国内的インパクトが大きかったのはアジア競技大会である。インドネシアは、参加45カ国・地域、42競技、オリンピックを上回る465種目のホスト役として、数々の不手際はありながらも、大きな事故なく会期を乗り切った。何よりも金メダル数が前回の4個、17位から31個、4位へと伸びた自国の思いがけない躍進が、国民に大きな自信を与えた。ジョコウィはすぐさま2032年のオリンピック招致に名乗りを上げた。
 これら国際的イベントはジョコウィ政権の実績として記録されることになろうが、実績の筆頭に挙げられるのはやはりインフラ開発だろう。インフラ向けの財政投資は年々積み増され、前政権最終年度の155兆ルピアから2019年度の421兆ルピアへと3倍近くに拡大した。
 ことし8月の国政演説で大統領は、現政権下で新たに港湾477、鉄道369キロ、空港11、高速道路397キロが建設された、と具体的な数値を列挙した。来年4月の選挙までに、おそらく目玉プロジェクトの開通式や着工式が相次ぐことだろう。
 だが、ここにきてジョコウィ政権は逆風にさらされている。財政投資も奏功してことし上期に成長率が上向きかけていたところだったが、アメリカの利上げとトルコの通貨危機をきっかけにインドネシアは新興国売りの標的になった。政策当局は利上げと経常赤字削減のための輸入抑制に舵を切らざるを得ず、成長にブレーキがかかった。時同じくして、ロンボク島、中部スラウェシ州で大地震が発生し、甚大な被害が出ている。2004年のスマトラ沖大地震の後に配備された津波観測ブイが機能しておらず、不正確な津波警報が被害を広げた可能性がある。政府のガバナンスの弱さが問われている。

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