焦らず運用状況を注視 JJC就労ビザセミナー 改善点と注意点
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)は4日、中央ジャカルタのJJC会議室で、「ビザ専門会社の現場から~新しい労働大臣規定と法務大臣(イミグレ)の要点、注意事項と対応策について~」と題したセミナーを開いた。
講師はFPCインドネシアの小池雄一マーケティングディレクター。「外国人労働者利用に関する大統領令(新大統領規定2018年第20号)」の細則となる労働大臣規定2018年第10号と法務人権大臣規定2018年第16号が出そろい、就労ビザの取得プロセスなどが大きく変わると危機感を持った企業関係者などからの問い合わせが増えたため、前回7月に続いての開催となった。
小池氏は、新大統領規定の目的は、投資を呼び込むための就労ビザ手続きの簡素化とインドネシア人労働者の育成と説明。オンライン化による業務効率化で承認処理時間が短縮されたり、要望の多かった緊急対応ビザの特別対応が明示されたりするなど大きく改善された部分を紹介。
その一方、雇用契約書や外国人労働者(TKA)利用報告書、業務を移転するインドネシア人随行員の教育・訓練実施報告書などのフォーマット案が出されるなど、各規定の確実な実施や実質的な成果が要求されたり、訂正書類提出に期限が定められたりするなど、当局のコミットと引き換えに申請者側にも厳格にコミットを求めるかたちになっていると分析。加えて規定の順守状況の監視、監督、取り締まり強化から、罰則レベルまで明確にされており、改善点だけでなく注意する点も多いと指摘した。
その上で、インドネシアでは規定通りに運用されるとは限らず、規定は出たものの運用が始まっていない現状を考えると、さまざまな先走った情報に惑わされることなく、現場の状況を注視しながら具体的な対応をしてほしいと強調した。
セミナーには70人を超える参加者があり、講演後には個別ケースを相談する列ができた。JJCは11日にも同内容のセミナーを開催する。(太田勉、写真も)