5月に値上げも 補助金付き石油燃料 ジェロ・エネ相が見解
四月一日の実施を目指していたが、国会が延期した補助金付き石油燃料値上げ問題をめぐり、ジェロ・ワチック・エネルギー鉱物資源相は二日、インドネシア産原油公式販売価格(ICP)の値上がりが続けば、五月にも値上げの実施が可能との見解を示した。国会が可決した二〇一二年補正予算案に盛り込まれた「ICPが、六カ月間の平均で基準値の一バレル百五ドルから一五%以上上昇、または下落した場合、政府が燃料販売価格を調整することができる」との条項について、過去にさかのぼることができるという新解釈を示した形だが、国会の反対や、大規模デモを繰り広げた学生組織などからの反発も予想され、事態は流動的だ。
同日、ハッタ・ラジャサ経済担当調整相、アグス・マルトワルドヨ蔵相と、中央ジャカルタの経済調整相事務所で記者会見したジェロ・エネルギー相は「四月のICPが一三四・六四ドルを超えれば、(過去六カ月平均が一二年予算の想定値から)一五%(一二〇・七五ドル)超となり五月に値上げできる」と語った。
三月のICPは一二八・四〇ドルを記録。一二二・一七ドルの二月に続き、値上げラインの一二〇・七五ドルを上回っていた。
■補正予算の再編成も
アグス蔵相は、値上げを行わない場合、再度、補正予算を組まなければならなくなると指摘。「値上げを行わない場合、毎月四兆―五兆ルピアの補助金を追加で計上し続けることになる。われわれは再度の予算修正を提案したい。二〇〇五年にも同じことをした」と述べ、値上げに反対する動きをけん制した。
原油高の影響で補助金のつかない高オクタン価ガソリンの四月一日の価格は、プルタマックスが一万二百ルピア、プルタマックス・プラスが一万三百五十ルピアまで上昇。一月から千六百―千八百五十ルピア増となったほか、補助金で四千五百ルピアに抑えられているレギュラーガソリン「プレミウム」との価格差が広がっている。
アグス蔵相は「もしプルタマックスの利用者がよりプレミウムにシフトすれば、必ず(二〇一二年補正予算で定められた)補助金付き燃料割り当て量の四千万キロリッターを超え、四千七百万キロリッターほどに達するだろう」と話した。
値上げ見送りで財政負荷が懸念され始めており、世銀のインドネシア担当リードエコノミストのシュブハム・チャウドフリ氏は三日、国営アンタラ通信に対し「原油価格の一年間平均が百二十ドルならば、一二年予算の赤字はGDPの三・一%程度まで上昇する」と語った。