ムスリム向け日本食 3種類提供、洋食より人気 JAL
日本航空(JAL)は9月から、ジャカルタ発の全便、全クラスの機内食で、ムスリム向けの日本食の提供を始めた。3種類を用意し、観光などで日本に向かう高所得層には洋食より好評だ。3カ月ごとにメニューを変え、ムスリムや日イ間を頻繁に往来する邦人らへの訴求力を高める。
ビジネスクラスの機内食は卵焼きなどの前菜、白米とみそ汁に数種類の副菜が付いたメーン料理、サケや牛肉を使った肉料理の3種類。前菜とメーン料理は3カ月、肉料理は1カ月でメニューが変わり、乗る度に新しい料理が楽しめるようにする。エコノミークラスでもインドネシア料理などとともに日本食を提供する。
食材の多くはインドネシア国内で調達する。バリ産の鴨肉やキャッサバを発酵させた「タペ」を使用し、みりん風調味料やアルコール分を含まないみそで香りや味を付けている。
JALは機内で酒類の提供も行っているため、イスラムの教義に沿ったハラルの表記は使用していないが、メニューカードには「イスラム教の調理過程を経て提供」と記載。乗客に聞かれた際には、口頭でムスリムが安心して食べられるハラルの日本食であると説明しているという。10月28日から共同運航を行う国営ガルーダ・インドネシア航空と同様の方針にした。
JALから業務委託を受け、調理やメニュー開発を担当するガルーダ・インドネシア・グループのケータリング会社アエロフードACSの大澤秀一・日本食部門料理長は「日本食のスタンダードを守りつつ、いかに現地の要素を加えていくか、という挑戦をした。日イが融合した料理を食べる新体験、話題を提供したい」と語る。
ビジネスクラスではムスリム向けの洋食も選択できるが、9月の提供開始から日本食が人気を博し、搬入する機内食の多数を占める状況だという。
ムスリム向けの日本食の提供路線はマレーシアに続き2カ国目だが、JALジャカルタ空港所の関根駿マネージャーは「(マレーシアの便では)ハラル認証を持つ現地ケータリング会社任せの体制となっており、質で言えはこちらが上」と胸を張る。「インドネシア人の日本への心理的なハードルを食事から下げ、安心して楽しんでもらえれば」と語った。(大野航太郎、写真も)