【ジャカルタ日本祭り特集】「インドネシアに賭ける」 アジア大会で公式ソング熱唱 加藤ひろあきさん
アジア大会の日本語版公式ソングを歌い、話題となっている歌手の加藤ひろあきさん(35)。歌手を志したきっかけは、ガジャマダ大学(ジョクジャカルタ)留学中の2006年に、ジャワ島中部地震の被災者へ音楽と支援物資を届けるボランティア活動に参加したことだった。
音楽を聴くことで「(つらい気持ちを)少しでも忘れられた」「リラックスできた」と感謝され、音楽が人に与える力を実感。「これを仕事にしたい」と決めた。
東京外国語大大学院を卒業したが、人生の軸にしようと決めていたインドネシア語と音楽だけでは食べていけず、工事現場などで働く日々が約1年続いた。
大学時代の恩師から桜美林大学でのインドネシア語非常勤講師の仕事を紹介され、状況が一転した。上智大学非常勤講師や翻訳などの仕事が舞い込み、インドネシア語の仕事は順調に進んだ。
一方の音楽活動は「鳴かず飛ばず」だったが、仕事で出会ったインドネシア人アーティストは「インドネシアに来た方が輝くんじゃない?」と言ってくれた。
30歳。「この10年間を、インドネシアに賭けてみよう。死ぬ気でやってみて、駄目だったら、方々に頭を下げて帰ってくればいい」
14年4月、何も決まっていない状態でジャカルタへ。「(日本を)盛大に送り出された手前、帰るに帰れない。でもそれで頑張れた」と笑う。
その後、旅番組への出演をきっかけに仕事が舞い込むように。17年には歌手活動を本格化させ、念願のファーストアルバムをリリースした。
9日のメーンステージに出演、同時開催の音楽祭で総合司会も務める。
「歌を聴いてもらって、歌に込めているメッセージ、日イの友好につながるメッセージを受け取ってもらいたい。ありがとう、テリマカシ。感謝の気持ちを込めてステージを全うしたい」(坂田優菜、写真も)