大統領オートバイで登場 開会式 大自然と多様性が共存

 アジア大会の事前説明で、クリエイティブ・ディレクターのウィシュヌタマさんは開会式には「サプライズ」がある、とかたくなに内容を詳細に明かさなかった。約3万8千人の来場者や取材に臨んだメディア関係者らはおそらくその狙い通り、オートバイで登場したジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領に度肝を抜かされた。高さ27メートルの山地ではインドネシアの大自然と民族・人種の多様性が表現され、1万2千発の花火が彩ったフィナーレに観客は酔いしれた。
 黒いスーツに赤いネクタイ、白いシャツでスクリーンに現れたジョコウィ大統領。イスタナ(大統領宮殿)から開会式会場のブンカルノ競技場に向かうため、警護隊のオートバイに乗り込むとカンプン(村)の細い道や混雑する大通りをスーイスイ。特撮ヒーローばりのジャンプも披露しつつも、庶民派の大統領としてのアピールも。交通量が多く道路を渡れずにいた学生らを見つけると、オートバイを止めて自ら交通指導員の役を買って出た。
 これに観客は大歓声。もう直ぐ競技場だ、会場がそう思ったその時、舞台脇からオートバイに乗った「大統領」が登場。ほとんどがスタントだと気付きながらもサプライズを楽しんだ。
 400人で踊ったアチェ州伝統のサマンダンスが選手団を迎え入れた。ステージはそれぞれ水と大地、風、炎をテーマに展開、バリのケチャダンスも披露された。最後に聖火を山の上の聖火台に運んだのは、1992年バルセロナ五輪バドミントン金メダリストのスシ・スサンティさん。ピアニストのジョイ・アレキサンダーさん(15)も演奏を披露した。
 インドネシアの旗手は2010年から国際大会で過去10度旗手を務めている競泳のイ・グデ・シマン・スデルタワ選手。日本は08年北京五輪ソフトボールの金メダリスト、上野由岐子選手。日イのほか、パレスチナと、合同入場した「南北朝鮮」に特に大きな歓声が送られた。
 韓国で生まれてからインドネシアに来て11年になるパク・ムン・ジェイさん(13)は家族と訪れた。「多くの国が出場する中で、(両国が)一緒に入場してくれてうれしかった。(アジア大会で)アジアが一つになって、朝鮮半島も一つになってくれるといい」と南北朝鮮の合同入場に期待を示した。
 上野旗手の後ろで日イの旗を振った、日本選手団長の山下泰裕日本オリンピック委員会強化本部長は、開会式当日昼の会見後、アジア大会について「競うだけでなく、交流の場でもある。日本とインドネシアだけでなく、外国人選手との交流は大事にしてほしい」と話した。(中島昭浩、写真も)

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