巨大な神の像が完成 バリ島ジンバラン 高さ121㍍
28年にわたり進められてきたバリ島ジンバランのガルーダ・ウィスヌ・クンチャナ像の建設がこのほど、完了した。高さ約121メートルで、総重量は約4千トン。9月22日にジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が出席する完成記念式典が開かれ、バリ島の新たなシンボルとして国内外に披露される予定。
地元メディアによると、中国の魯山大仏、ミャンマーのレイチュンセッチャー大仏に次いで世界で3番目に高い銅像となった。
像のデザインはインド発祥の叙事詩「ラーマーヤナ」に登場するヒンドゥー教の神・ウィスヌが、翼を広げた神鳥ガルーダに乗る姿。彫刻家などアーティスト約120人が建設事業に参加し、計754個の銅、黄銅製モジュールを使用。この規模の像では世界でも類を見ない緻密(ちみつ)な造形になった。
像の建設はスハルト政権期の1989年に彫刻家のイ・ニョマン・ヌアルタさんが構想を立ち上げ、90年に政府から許可を得た。土地収用が進められ、97年に本格的な建設が始まったが、アジア通貨危機の影響で資金難に陥り中断。2013年に再開され、ことし7月31日に最後のモジュールが組み込まれた。
8月4日には完成を祝うイベントが開催され、ダンサー約100人が参加した。ヌアルタさんは「夢のようなプロジェクトだった。多くの人に実現は不可能だと言われた。このプロジェクトには大変な価値がある」と語った。
ヌアルタさんによると、ジョコウィ大統領は10月にヌサドゥアで開かれる国際通貨基金(IMF)と世銀の年次総会で、像の建てられた公園をレセプション会場に使用する意向。直前に完成式典を行う運びだ。
像は5日のロンボク島地震を受け緊急点検が行われたが、損傷は見つからなかったという。ヌアルタさんは「マグニチュード8の地震に耐えられるように設計されている」と話した。(大野航太郎)