津波恐れ高台で一夜 スンギギ海岸閑散
リゾートやホテルが立ち並び、普段は外国人観光客でにぎわうロンボク島スンギギは6日、閑散とした。コンビニやレストラン、ホテルはほとんどが閉ざされ、通りはひっそりと静まりかえっていた。
「観光客は誰もいないよ」。ツアーガイドのマルズキさん(41)は声を落とした。「帰りたい」という観光客を朝から40人以上空港へ案内した。「泣き出す人もいて、パニックだった」と振り返る。政府も空港への無料バスを用意し、人通りのない街中を時々大型バスが駆けていった。
マルズキさんの家も全壊した。観光客を送り届けた後は、家族や近隣住民に声をかけ、避難所の設営に取り掛かった。家が壊れた70人ほどが集まり、広場にテントを立て、壊れた家からマットレスを運びこみ、家畜を犠牲にして食事を用意した。
「政府の支援はいつ来るかわからない。助け合うしかないんだ」
一方、ロンボク空港には、旅行予定を変更して一刻も早く帰国したいという外国人観光客らが朝から殺到していた。だが7日までの便はほぼ満席。空港は疲れきった観光客であふれかえった。
オランダ人のタリア・ハウデルさん(46)はスンギギのビーチで地震に遭い、「8日に帰る予定だったが、余震が怖いのでもう帰りたい。昨晩は一睡もできなかった」。中国人大学生の孫佳露(チュン・チャールー)さん(23)は「『津波が来る』と聞いて、地元の人について、高台で一晩を過ごした」。帰国便は8日で、それまで空港で寝泊まりするつもりだ。「疲れているけど、また地震が起きたら、と考えてしまう。気が抜けない」とため息をついた。(木村綾)