連立与党造反か 燃料値上げ ゴルカル土壇場翻意
燃料値上げを盛り込んだ修正予算案の国会本会議採決を前に、二十九日夜、連立与党で国会第二党のゴルカル党が突如、値上げに反対すると発表した。三十日に開かれる本会議直前まで各政党間の駆け引きが激化するとみられ、連立与党から造反組が出ることで燃料値上げが取りやめになる可能性も出ている。
ゴルカル党のイドルス・マルハム幹事長は二十九日午後七時ごろ、ゴルカル党事務所で会見を開き、「ゴルカル党は石油燃料値上げが不要と決定した」と発表した。
これに先立ち、ゴルカル党のアブリザル・バクリー党首は二十九日、西ジャワ州ボゴールのモスクで値上げ反対派の急先鋒の最大野党・闘争民主党メガワティ党首の夫、タウフィック・キマス国民協議会議長と会った。
この後、バクリー党首は、ゴルカル党は値上げを支持しないと明言。「(予算修正案の予算額を)計算し、ゴルカル党は現時点で値上げは不要と判断した。値上げするなら(千五百ルピアでなく)一気に二千ルピアだ」との見方を示した。
同日、連立与党の福祉正義党(PKS)のレフリザル副幹事長も会見し「ルトフィ・ハサン・イスハック党首が連立の脱退を検討している」と民主党をけん制した。
民主党のアナス・ウルバニングルム党首は同日夜、ゴルカル党が燃料値上げで反対方針に転じたことを発表した直後に記者会見を開催し、「民主党は連立与党のすべての構成員が結束を保つことを望んでいる」との声明を発表。同党首は同時に、臨時に国会会派代表を自らが兼務し、国会採決へ向けて直接、陣頭指揮を取ることを明らかにした。
国会本会議では予算案承認を問う採決を行う可能性が高い。連立与党内の意見対立で、PKSだけが造反の場合は賛成三百六十六対反対百九十四で承認。さらにゴルカルが反対に回れば、賛成二百六十対反対三百で逆転し、燃料値上げは否決される。
■ サレンバで衝突
デモは各地で激化している。国会周辺では学生デモでガトットスブロト通りが午後一時ごろから封鎖された。学生は国会正門を破壊。午後四時半ごろ、機動隊が敷地内や同通りからデモ隊の一部を包囲、衝突の末、催涙弾を連発し、デモを鎮圧した。
午後七時半ごろ、中央ジャカルタ・サレンバの国立チプトマングンクスモ病院前のディポヌゴロ通りでは、キリスト教大学(UKI)の学生ら数十人が古タイヤやオートバイに火を付け、警官に襲い掛かるなどしたほか、同通りのチキニ駅周辺では警察の車が焼かれ、一帯は黒煙が立ちこめ一時騒然となった。同通りは同九時ごろまで閉鎖され、同地区周辺は大渋滞した。
バンテン州タンゲランでは労働者約千人がスカルノハッタ空港に向かったが、警察がバリケードで阻止した。
三十日はこれまでの学生に加え、各地労組がデモを予定。インドネシア労働組合連盟(KSPI)など五労組は中央ジャカルタ・スナヤンの国会前に約一万人を動員する見通し。西ジャワ州ブカシ県の労組を束ねたブカシ労働者連帯フォーラム(FSKSB)はチカンペック高速道の封鎖を示唆している。
同フォーラムのマスルル・ザムバック氏は「(一月の)ブカシ最低賃金デモと同様の大型デモを起こす」と息巻く。タンゲラン労組は引き続き空港周辺でデモを実施するほか、各地の労組が労働者を動員する予定。