日イ協会副会長に塩尻氏 外務省出身、元駐イ大使
日本インドネシア協会(会長、福田康夫元首相)はこのほど開いた理事会で、新副会長に塩尻孝二郎元駐インドネシア日本大使の就任を決めた。塩尻氏は2008年4月、外務省官房長から駐インドネシア大使に就任。その年にジャカルタで繰り広げられた日本インドネシア国交樹立50周年記念行事の指揮を振るった熱血外交官として知られ、同協会会員数の大幅増加を実現した前任の飯村豊副会長を引き継いでの手腕が期待されている。
塩尻氏の副会長就任により、日本インドネシア協会の新首脳陣は福田会長、経済界を代表する黒田直樹副会長(国際石油開発帝石相談役・前代表取締役会長)、山崎紀雄専務理事(前インドネシア投資調整庁=BKPM=投資促進政策アドバイザー)の新体制になる。近く関係方面に新体制を通知する。
塩尻氏は慶応大学経済学部卒。1973年に外務省に入省、駐米公使を経て2005年から3年余り外務省のまとめ役である官房長を務めた後、08年4月から11年まで駐インドネシア大使。その後、欧州連合(EU)代表部大使を務めるなど、外務省の要職を歴任、退官後の14年10月からANAホールディングス常勤顧問を務めていた。
インドネシア在任中には、就任早々に現地各メディアを表敬訪問してジャーナリストらに強い印象を与えたほか、スリ・ムルヤニ現財務相、アニス・バスウェダン現ジャカルタ特別州知事など当時の若手指導者とも積極的に会い、両国の交流拡大に力を入れた。プサントレン(イスラム寄宿学校)を含む多くの各種教育機関も訪問し、教育界においても日本のプレゼンス拡大に貢献した。
在任の初年度に当たった国交樹立50周年記念行事では両国のさまざまなイベントに積極的に参加、19万人が参加した日本インドネシア国交樹立50周年記念友好博覧会では、その盛り上がりの中で、塩尻大使がプレゼントした日本の記念ロゴ入り「はっぴ」を、インドネシア側イベント・オーガナイザーがいまだに誇りにしている、といったエピソードも残っている。
塩尻氏は「世界全体が大きく変化する中で、インドネシアと日本は互いにますますかけがえのない関係になっている。この両国の関係を支えていく仲間をインドネシアでも日本でももっと多く増やしていきたい。そのためには政府、民間、メディアはじめ両国関係に携わる人たちが力を合わせオールジャパンで取り組む体制づくりのお手伝いができれば」と副会長就任の抱負を語っている。
来週にはさっそくジャカルタを訪問、日本大使館やジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)に就任のあいさつをするほか、旧知のインドネシア要人とも旧交を温めたい考え。(小牧利寿)