水深460メートルに沈船か トバ湖 船長、注意報を無視
北スマトラ州トバ湖で18日に発生した連絡船「シナール・バングン」の沈没事故で、捜索隊は21日、水深約460メートル地点に船があると発表、水中探査装置で正確な位置の確認作業を始めた。事故当時、悪天候で気象庁が出した波浪注意報を無視して運航したとして、警察は船長を業務上過失などの疑いで捜査する方針だ。
救命救助隊(SAR)は21日、死者3人、生存者19人、親族などの申告による行方不明者は184人と修正した。
これまでの調べで、沈没した船が水深460メートルほどにあるとの見通しが立ったため、最大水深600メートルまで捜索できる水中探査装置を投入。行方不明者の捜索はゴムボート10隻と複数の民間船舶の200人態勢で進めている。しかし水温が低く、水中が暗いため、最大50メートルまで潜る潜水部隊の作業も難航している。
北スマトラ州警察の調べでは、気象庁が事故当日、2度にわたり波浪注意報を出していたにもかかわらず、連絡船の船長がこれを無視して出航したことが判明した。警察は21日、救助され自宅療養中の操縦士を業務上過失などの容疑で取り調べる方針を明らかにした。
ティト・カルナフィアン国家警察長官とハディ・チャフヤント国軍司令官は同日、沈没地点から500メートルのティガラス港入りし、捜索会議に参加。事故の生存者を慰問した。ティト長官は「船舶の運航に責任を持つ運輸局の監視態勢を確認する」と説明した。
一方、ブディ・カルヤ・スマディ運輸相は1500億ルピアを投じ、トバ湖内5港の改修と整備を実施すると発表した。安全基準などの監査を進めるため、5港で運航する40の木造連絡船業者に対し1週間の営業停止を命じ、代わりに運輸省がRORO船などを運航させる。(中島昭浩)