パーム油輸出拡大へ 現地雇用創出を強調 大統領、中国首相と会談

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は7日、中国の李克強首相と西ジャワ州ボゴールのイスタナ(大統領宮殿)で会談し、パーム油の輸出拡大など経済協力の深化で一致した。また、中国人を含む外国人労働者の大量流入が政府批判として叫ばれるなか雇用問題に言及。中国側はインドネシアへの投資を進めるとともに現地の雇用創出に貢献していく姿勢を強調した。

 会談後の共同会見でジョコウィ氏は、パーム油やコーヒー、カカオ、マンゴスチンやドラゴンフルーツの熱帯果物などについて、インドネシアから中国への輸出拡大を図ることで一致したと明かした。特にパーム油は、中国向けに年間最低50万トンを追加輸出することで合意した。
  また、北スマトラ、北カリマンタン、北スラウェシ、バリの4州に経済回廊をつくる構想について話し合い、中国側は港湾開発や水産加工などの分野で専門チームをインドネシアに派遣する方針を示した。
 李氏は中国企業のインドネシアへの投資を約束した上で、「中国企業はインドネシア人労働者を雇い、インドネシアの雇用創出に貢献すべき」と主張、「両国の相互利益につながる」と強調した。
 土地収用の遅れなどが指摘されている中国主導のジャカルタ〜バンドン高速鉄道計画についても協議が見込まれていたが、会見では言及がなかった。会談に同席したブディ・カルヤ・スマディ運輸相は記者団の取材に同高速鉄道に関する議論は「なかった」と述べ、「BtoB(企業間)の話なので」と付け加えた。
 このほか李氏は会見で、中国国内に2千万人のムスリムがいると言及。ハラルフードやムスリムファッション分野での協力についても協議したと明かした。また8月にジャカルタと南スマトラ州パレンバンで開幕するアジア大会の成功を祈り、両氏は同大会のマスコットを手に和やかな雰囲気で記念撮影に臨んだ。
 李氏は会談後、東南アジア諸国連合(ASEAN)事務局を訪問。8日からは日本を公式訪問する。(木村綾、リンダ・シラエン)

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