歩行者天国で脅迫行為 ジャカルタ 大統領続投派と反支持派対立 副大統領が声上げる事態に
「カーフリーデー」の29日、ジャカルタ中心部の歩行者天国で、来年の大統領選で現職大統領の続投を支持する人たちに対し、新大統領就任を望む支持者が脅迫する行為があったとして物議を醸している。この騒動の様子を納めた動画がインターネット上で拡散。ユスフ・カラ副大統領やイスラム学者会議(MUI)のマアルフ・アミン議長が「二度としないように」と発言する事態となった。地元メディアが報じた。
騒動の現場となったのは、中央ジャカルタ区のホテル・インドネシア(HI)前ロータリー。当時、続投支持者が「彼は職務で忙しい」というスローガンをプリントした白いTシャツを、一方、新大統領支持者は「大統領交代」と書かれた黒いTシャツを、それぞれ着ていた。
ユーチューブにアップロードされた各種の動画では、続投派が、新大統領派に行く手を阻まれ、「いくら払うんだ」などと紙幣をチラつかせながら騒ぐ複数の新大統領派に絡まれていた。子ども連れの続投派Tシャツの女性が「女性や子どもにこんなことをするなんて、罰が当たるわ」と声を荒げる場面もあった。
こうした事態を受け、カラ副大統領は30日、「(脅迫行為は)あってはならない。選挙キャンペーン期間も始まっていない」と述べた。アミン議長は2日、「大統領を変えたければ、候補者の名声を上げるしかない」と述べ、脅迫行為は間違いだと指摘した。
同議長はさらに、一連の行動の首謀者に責任があるとしたが、騒動当日に大統領交代のキャンペーンを主催したとされる団体「ジャカルタ青年運動(GPJ)」は、「(脅迫行為は)していない」と否定している。
歩行者天国は、ジャカルタ特別州知事令(16年12号)7条で、「政治活動に使用することはできない」と規定されている。
警視庁は「脅迫された」という被害者2人から通報を受け、捜査を進めている。今後は警備を増強するほか、イベント開催前の事前選考に、新たな規則を加える方向で歩行者天国の主催団体と調整する方針。(中島昭浩)