中国鉄路社長が視察 バンドン高速鉄道 ハリムのトンネル工事

 中国主導で進めるジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道計画で、中国の国有企業、中国鉄路総公司(CRC)の陸東福社長が来イし、リニ・スマルノ国営企業相とともに2日、東ジャカルタ区ハリム空港付近で建設中のトンネル工事現場を視察した。事業の遅れが指摘されるなか、インドネシア側は加速化を後押しし、中国側は事業は順調だとの姿勢を貫いている。
 国営企業省によれば、中国側で視察に参加したのは同社長や中国鉄路幹部など計6人で、事業を「加速する方法を探る目的」で訪れた。4日まで、西ジャワ州西バンドン県のワリニ・トンネル(全長608メートル)などを視察する日程という。
 これに続いて、6〜8日には中国の李克強首相が来イし、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領と会談する。高速鉄道計画についても協議するものとみられている。
 同高速鉄道計画では3月下旬、建設中のワリニ・トンネルが地元メディアに初公開されたばかり。今回の視察も工事の進展をアピールした形で、同省によれば土地収用は現時点で64・2%を完了した。
 陸氏はこの日、ルフット・パンジャイタン海事調整相らとも会談。同席した海事調整省幹部は地元メディアに対し「(中国側は)土地問題が片付けば、3年以内で完工できるとしている」と述べた。中国側は事業は順調との見方を示しているという。
 高速鉄道インドネシア・中国(KCIC)は3月下旬、開業目標を2020年に1年先送りすると発表した。地元メディアによればリニ氏はこの日、視察先のハリム・トンネルで「20年末にはおそらく完工するが、試験運行しなくてはいけない」と述べ、3カ月間の試験を経て21年3月の開業を目指す考えを示した。
 同高速鉄道は、ジャカルタ〜バンドンの全長140キロを時速350キロで結び、ハリム、カラワン(西ジャワ州カラワン県)、ワリニ(西バンドン県)、トゥガルルアル(バンドン県)の4駅を設置する。累計1万6375メートルのトンネルを設ける計画となっている。

■高速道沿いで工事
 2日に中国鉄路幹部が視察したのは「第1トンネル」と呼ばれるハリム・トンネル(全長1830メートル)。ハリム空港の北側を走るチカンペック高速道路沿いで工事が始まっている。
 同高速道の北側車線を西ジャワ方面へと走ると、ポンドック・グデ西料金所の手前約500メートルあたりで、「高速鉄道、間もなく」と書かれた工事現場の仮囲いが見えてくる。現場は、高速道沿いで建設中の次世代型交通システム(LRT)高架橋に隣接する。
 2日午後に訪れると、トンネルの建設地だという場所には青いシートが敷かれ、舗装された地面にはクレーン5、6台が置かれていた。
 作業工程や図面を示す掲示版の多くは中国語と英語の併記。中国語で「展示庁」と書かれた事務所前には青い作業着を着た数人の男性たちが。聞けば中国人で、中国語を話すインドネシア人通訳も居合わせた。
 急ピッチで進むインフラ工事をめぐっては昨年以降、事故が相次いでいる。トンネルは2年2カ月かけて完成させるという。工事現場には「セーフティー・ファースト(安全第一)」と書かれたのぼり旗がなびいていた。(木村綾、写真も)

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