独立100周年へ協力を 東京 日イ60周年記念シンポ 河野外相が基調講演
日本にある主なインドネシア関係団体が主催する日本インドネシア国交樹立60周年記念シンポジウムが20日、東京都内のホテルで開催された。基調講演で河野太郎外相は「両国の戦略的パートナーシップはますます重要性を増している。インドネシアが目指す2045年の独立100周年に向け一層の関係強化を目指す」と述べ、日本政府は国交60周年をテコに、対インドネシア外交に一段と力を入れる考えを示した。
河野外相は講演の冒頭、「(かつて勤務していた)富士ゼロックスではインドネシアを担当し、(リアウ諸島州の)ビンタン島や(マルク州の)アンボン島まで出張した。新婚旅行先もバリ島だった」と個人的にもインドネシアとの関わりが深いことを披露した。また、ジャカルタの大量高速鉄道(MRT)や西ジャワ州のパティンバン新港建設プロジェクトが順調に進展していることやインドネシアから日本への旅行者が年間35万人に増えてきたことを踏まえ、両国関係が順調に進展していると指摘した。
その上で、両国関係が良好な現状は、過去60年間の友好関係の積み重ねの上に成り立っているとして、日本は、インドネシア政府が打ち出している45年の独立100周年に向けた国造り計画を踏まえ、長期的視野に立って両国が一層の戦略的友好関係を構築するよう呼びかけた。
開会にあたって、福田康夫・日本インドネシア協会会長、大八木成男・経団連インドネシア経済委員会委員長のあいさつのあと、欠席したユスフ・カラ副大統領に代わりバンバン・ブロジョヌゴロ国家開発計画相が「インドネシアは日本との関係を戦略的に重要視している」と述べた。
個別討議の第1セッションは白石隆・熊本県立大学理事長をモデレーターに「転換期のアジア情勢と日本・インドネシアパートナーシップの役割」をテーマに、ユスフ・ワナンディ・インドネシア国際戦略研究所(CSIS)財団副議長と田中明彦・政策研究大学院大学学長が討議、太平洋からインド、アフリカへと広がる新しい世界の中心に位置するインドネシアと日本の協力について討議した。
第2セッションでは浦田秀次郎早大大学院アジア太平洋研究科教授、マリ・エルカ・パンゲストゥCSIS財団評議会委員が「グローバル経済と日本・インドネシア関係」をテーマに、中国経済が強大化する中で両国経済の協力のあり方を討議した。
午後の第3セッションは佐藤百合・日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所理事がモデレーターとなり、「日本インドネシアビジネスフォーラム・さらなる投資に向けて」をテーマにバンバン国家開発計画相や石毛博行・ジェトロ理事長、早田茂・トヨタ自動車副会長、吉川栄一・三菱UFJ銀行副頭取、ムハマド・ルトフィ・インドネシア商工会議所(KADIN)日本経済委員会委員長らが活発に意見を披露した。
日本とインドネシアが新しい相互補完関係を意識した協力関係を構築する方向で議論が進められた。
今回のシンポジウムは、国交樹立60周年記念事業実行委員会と日本経済新聞社、日本インドネシア協会、在日インドネシア大使館、インドネシア日本友好協会(PPIJ)、在日インドネシア経営者協会(APIJ)の計6団体が主催、外務省が後援した。聴講者の定員は300人にしていたが申し込みが殺到した。(小牧利寿)