「すごいサッカー好き」 地元小学生に手ほどき 東ジャワ遠征の全日本大学選抜
インドネシア遠征中のサッカー全日本大学選抜は十九日、東ジャワ州マラン県バトゥ郡で地元小学生百人に向けサッカークリニックを開き、地元住民と交流を深めた。
クリニックが始まると早速、子どもたちの元気が弾けた。会場のホテル「クスマ・アグロウィサタ」内のグラウンドは開始一時間前から冷たい雨が降っていたがお構いなし。顔から足までどろんこになりながら、ぐちゃぐちゃのグラウンドでボールを追いかけた。
選抜は前日までに地元プロチームに二連勝。九―十一歳のサッカー少年たちの期待はいやがおうにも高まっていた。
準備運動、リフティングで体を温め、グラウンドを四つに割ってミニゲーム。最後、ボールを六つ使い選手、コーチら二十六人対子ども百人の試合では、アジアの雄である日本の大学生選抜から点を取りたいと子どもの半分ほどがゴール前に殺到。子どもたちの元気は最後まで衰えることがなかった。
ムハンマド・アイヌンさん(一一)は「日本の選手はやっぱり上手かった。国際的な力があると思う」と感心。ムハンマド・フィトロさん(九)は「日本の(大学)代表チームから試合で一点取った。すごくうれしい」とにんまりした。
バトゥは人口約四万人の静かな避暑地。参加チームの一つで指導するスギヤントさん(四三)は「まさかここに日本のチームが来るとは思わなかった」と驚きを隠さない。グラウンドには子どもの家族が大勢詰めかけ声援を送る。午後三時からのクリニックを見学するために、仕事を休んだ父親が多いようだ。終了後は選手を写真攻めにした。
一方、大学一―三年生の選手には新鮮な印象が残った。キーパーの藤嶋栄介選手(福岡大)は「すごい楽しかった。顔にボールがぶつかっても泣かないくらい、めっちゃサッカーが好き」と話した。ディフェンダーの二見宏志さん(阪南大)は「みんなとても無邪気。インドネシア人はやさしくていい人たち」と話した。
吉村雅文監督は練習後「皆とってもいい顔で子どもたちと触れあっていた」とほおを緩める。地元プロに連勝したため、地元メディアの関心も高まり、監督の囲み取材が行われた。
遠征はスラバヤの出宮良平さん(五七)、バリ島から駆けつけた齋藤竜太さん(三五)を中心とした地元ボランティアがコーディネート。スラバヤから藤掛奨平さん(二二)らも駆けつけた。フィディ・ラムジエラさん(二一)ら国立アイルランガ大学の日本学科生が通訳で活躍した。
選手たちは日本から持ってきたサッカーボール百十八個などを子どもに渡し、最後はハイタッチで締めくくった。選抜は十六日からインドネシアを遠征。二十日は地元プロのアレマ・インドネシアとカンジュル・ハンで対戦する。