AIIB イ重視表明 大統領 「ロンボク開発融資を」
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は12日、西ジャワ州ボゴール市の大統領宮殿で、来イしたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の代表団と会談した。AIIB側はインドネシアを重要地域として重視する姿勢を表明。政府はかんがい設備の整備や西ヌサトゥンガラ州ロンボク島経済特区(KEK)マンダリカ開発向けの融資を要望した。
大統領との会談後、AIIBのクリストファー・レッグ取締役(オーストラリア)は今後も融資額を伸ばしていく中で、インドネシアのインフラ案件へ積極的に融資する姿勢を示した。
政府筋によると、AIIBとの交渉の中で、インドネシア側はかんがい用パイプラインなどの敷設に2億5千万ドルの融資を要望したほか、マンダリカ開発についての資金需要を説明した。
中国主導で2015年に設立されたAIIBは、中国政府が進めるインフラ整備協力を推進してきた。インドネシアは加盟国中で8番目に多い、5年間で6億7200万ドルを拠出する。
財務省によると、16年から始まったAIIBからの融資案件では、計約4億4100万ドルの資金調達を行ってきた。
第1号案件となったジャカルタを含む全国154都市の貧困地区における生活環境改善事業に対する融資では、AIIBと世界銀行との協調融資(シンジケートローン)で、双方が2億1650万ドルずつ資金供給している。さらに地方政府がインフラ整備に充てる資金枠を拡大するため1億ドル、ダムの補修、充実などに1億2500万ルピアと実績を積み重ねてきた。
AIIBの融資が拡大することで中国からの投資が増える可能性もあるが、国際的な融資の能力という点では経験不足の面は否めず、中国への警戒感を背景にした公正な統治などへの懸念もある。大規模な開発への融資については、ノウハウや実績がある世銀や日本主導のアジア開発銀行(ADB)との協調融資を望む意見もある。
代表団一行は中部ジャワ州ソロ市やジョクジャカルタ特別州も訪問、インフラや産業、観光などの分野について視察する予定。(リンダ・シラエン、平野慧)