燃料値上げで結束図る 与党党首と私邸で協議 現金支給に反発も ユドヨノ大統領
ユドヨノ大統領は十四日夜、西ジャワ州ボゴール県チケアスにある大統領の私邸で、連立与党六党の党首や国会会派代表などと、四月一日に予定している補助金付き石油燃料の引き上げ問題について協議した。市民の生活に直結する燃料値上げは政権の足下を揺さぶる可能性があり、大統領は連立与党間の結束を図って乗り切りたい考えだが、ゴルカル党など与党内にとどまりながらこれまでも政権批判を展開してきた政党が今後、どのように舵を切るかは予断を許さない。
チケアスに集まったのはユドヨノ大統領、ブディオノ副大統領や経済閣僚と、民主党のアナス・ウルバニングルム党首、ゴルカル党のアブリザル・バクリー党首ら連立与党各党の党首。
ユドヨノ大統領は内閣改造など重大事を決定するときにはチケアスで協議を行うことを通例にしているため、今回の協議の行方も地元メディアの注目を集めた。
大統領は協議後に記者会見を行い、「燃料の値上げは単に財政の健全化を目指しているだけではなく、国民生活の向上を見据えたものだ」と述べ、世界経済の急変による国民生活への打撃を抑えるためにも補助金を削減しなければならないと強調。四月からの補助金付き燃料値上げの方針に変わりがないことを示した。
石油燃料に対する補助金の削減は、国家財政の健全化の観点から必要性を訴える声も強いが、政権基盤の不安定化に直結しかねないため、ユドヨノ政権下でも再三延期されている。
■最大野党は反対明確化
一方、最大野党・闘争民主党(PDIP)は十三日、メガワティ党首や同党首長女のプアン・マハラニ国会会派代表らが協議を行い、政府の石油燃料値上げに反対する方針を決定した。
メガワティ党首によると、同党は三カ月前から燃料値上げ案について研究を続けており、特に政府が値上げの代わりに直接現金給付(BLT)を実施する方針であることに反発。同党幹部のプラモノ・アヌン国会副議長は政権与党が現金支給を支持率獲得のために利用しているとの見方から「正義に反した方法だ」と批判した。
総選挙前年の二〇〇八年に燃料引き上げが行われた際もユドヨノ政権は現金支給を実施しており、翌年の民主党の躍進につながったとの見方もある。