高架工事、全面中止へ 橋桁崩落で7人重軽傷 東ジャカルタ・ベチャカユ高速道
20日午前3時すぎ、東ジャカルタ区チャワンのJIパンジャイタン通りで建設中のベチャカユ高速道路の橋桁の骨組み部分が崩落し、作業員7人が重軽傷を負った。急ピッチでインフラ整備を進めてきたジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は同日、事故が多発する高架工事の安全調査を徹底させる方針を表明。全国の高速道路、大量高速鉄道(MRT)、次世代交通システム(LRT)など全高架工事の一時中止を指示した。
事故が発生したのは、南ジャカルタ区カサブランカ方面へ伸びる高架式道路の建設現場で、交通量が多い道路沿い。骨組みが崩落した橋脚から約80メートルほど先の橋脚の上にはすでに道路が敷設されていた。
ベチャカユ高速道は西ジャワ州西ブカシ〜東ジャカルタ区チャワン間をつなぐ。西ブカシのジャカ・サンプルナ〜東ジャカルタ区チピナン・ムラユ間(8.26キロ)は2017年11月に開通したばかり。
同高速道の建設は、国営建設ワスキタ・カルヤが請け負っている。同社と現場の作業員らによると、橋桁を造るためにコンクリートを流し込む作業を進めていたところ、橋脚の上部に取り付けられていた青い骨組み部分が左右とも崩落した。重軽傷を負った7人はいずれも作業員の男性だった。
ここ半年間で、高架式の道路や鉄道の建設現場で少なくとも8件の事故が発生している。ジョコウィ大統領は20日、記者団に「技術面と人為的ミスを避けるために、厳しく監督する必要がある」と強調し、建設業者らに対し建設計画や作業手順などをあらためて提出するよう求めた。
バスキ・ハディムルジョノ公共事業・国民住宅相は大統領から指示を受け、全国各地で高速道路やMRT、LRT、国鉄(KAI)の線路など、高架式の道路や線路の建設工事の一時停止を決定したと発表した。
公共事業・国民住宅省や運輸省、建設業者などが事故原因の究明や安全面の確認をする調査を実施。デザインや工程、労務管理、保守など建設事業計画も全面的に見直す。
8月開幕のアジア大会に向け、試験運行が予定されているジャカルタ特別州と南スマトラ州パレンバン市のLRTも調査対象に含まれるが、バスキ公共事業相は「当初の日程に影響が出ないよう早急に進める」と説明。
アニス・バスウェダン・ジャカルタ特別州知事は、地元メディアに「高架部分の調査であり、他の部分の建設作業は続けられる」と話した。(毛利春香、写真も)