復調見えるが緩やか ジェトロ・SMEJ新春セミナー
日本貿易振興機構(ジェトロ)と中小企業連合会(SMEJ)は23日、中央ジャカルタの在インドネシア日本大使館で新春セミナーを開催した。ジェトロジャカルタ事務所の春日原大樹所長は、ことしのインドネシアの景気について「復調だが緩やか」との見通しを示した。
セミナーでは石井正文駐インドネシア日本大使やSMEJの白石康信会長が、ことしの政治やビジネス、経済の傾向などについて説明した。
石井大使は、ことしは統一地方首長選や大統領選のキャンペーンが始まることで政治の季節になり、年後半からは動くものも動かなくなる不安もあると指摘。アジア大会やバリ島での国際通貨基金(IMF)、世界銀行の総会など、インドネシアの昔と今、そしてこれからの新しい時代を考える上で象徴的なイベントが開催されると話した。
また、日イ国交樹立60周年の各行事が行われていく中で、日本とインドネシアの協力関係がどうなるのか、新しい関係をどうするのか、どこに舵を切るのかなど、議論を進めていく時と指摘。日イの有識者などでインドネシア独立100周年の姿を共に考える「プロジェクト2045」について紹介した。
続いて白石会長は、激しい交通渋滞などビジネスには厳しい現在のインドネシアの環境改善を訴えながら、ことしは各種の巨大プロジェクトの実行がインドネシアの国内総生産(GDP)を押し上げると予測。「その60%を占める個人消費が弱いことが気にはなるが、経済は新しい光が見えそうだ」と期待を示した。
春日原所長は「2017年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」の結果と今後の見通しを説明した。世界的な景気は改善傾向、明るい雰囲気で、特に中国、ベトナムの復調が顕著だが、インドネシアも改善に向かっているものの未だ緩やかと分析。
特にインドネシアは、賃金の割高感などのコスト高構造▽税制などの問題の多さ▽外国人受け入れの縮小傾向▽通関手続きの長さ、複雑さ——などが問題視され投資に歯止めをかけていると指摘。「これからも、機会があるごとに政府に働きかけていきたい」と締めくくった。(太田勉、写真も)