高速鉄道の問題点協議 政府 空港間の接続案も検討
ジャカルタ〜西ジャワ州バンドン間を結ぶ高速鉄道建設計画について、ルフット・パンジャイタン海洋調整相は9日、1月中に運輸省や国営企業省と協議し、問題点をまとめると明らかにした。空港間を接続するための路線延伸案の検討も進めており、計画の先行きは不透明感が増している。地元メディアが報じた。
ルフット調整相は、2016年1月に行われた起工式からの進展が乏しく、19年開通が絶望的になっていることを問題視し、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が計画の見直しを指示したと説明。総事業費は60億ドル以上とされているが、中国側が融資するスキームに変更はないとしている。
高速鉄道建設事業は、ジャカルタ特別州と西ジャワ州カラワン、バンドンに四つの駅を設置し、全長142キロを45分で結ぶ計画。しかし17年、空港間の移動手段として利用するための路線の延伸案が浮上。始発駅の東ジャカルタのハリム空港駅と、ことし営業開始予定の西ジャワ州マジャレンカ県クルタジャティ郡の西ジャワ空港(BIJB)やバンテン州タンゲラン市のスカルノハッタ空港を結ぶ案について、ルフット調整相は近く決断を下したいと説明した。
西ジャワ州政府は17年、当初計画に基づく用地を確定したと発表したが、その後の土地収用は難航している。設計変更により、膨れ上がる事業費とともにさらなる土地収用リスクを抱えることは計画自体の実現性が疑われることにつながり、中国側の融資実現を遠のかせることになりかねない。政府は土地収用を早急に進めて資金調達を図ることが求められている。
高速鉄道計画は日本と中国が競合し、円借款プランを提示した日本に対して、政府保証なしの融資など負担の軽さをうたった中国案が採用された経緯がある。(平野慧)