「ビジネスモデル転換も」 中銀がクレカ新規定 保有条件など厳格化

 民間銀行のキャンペーンや国民所得上昇などを背景に、クレジットカードの発行枚数や取引額が急拡大する中、中銀はこのほど、クレジットカード保有に関する新規定を発出した。新規定では、保有条件などを厳格化。クレジットカードを発行している銀行にとってはビジネスモデルの見直しを迫られることになりそうだ。

 クレジットカード保有に関する新規定では、(1)カード保有者の年齢制限を、現行十七歳以上から二十一歳以上に引き上げる(2)クレジットカード取得の最低月収を三百万ルピアとする(3)月収三百万ルピアから千万ルピアでクレジットカードを二枚持つことができる(4)利用限度額を月収の約三倍までとする(5)月三・五―三・七五%を基準に、クレジットカードの手数料金利の通常計算である複利の禁止―などが定められた。インドネシアの銀行によるクレジットカードの発行は、大手を中心に二十行に限定されており、該当する銀行は二〇一三年一月一日までに、新規定に準拠することが求められる。
 国際機関で長年の金融経験を持ち、インドネシアの金融セクターに詳しい玉垣謙一氏は「銀行側が、利用者のクレジットカード保有枚数が本当は何枚なのか確認することが困難だ。まだ細則は決まっていないが、規定以上の枚数を発行した場合は、誰かが罰則を受けることになる」と、新規定運用の難しさを指摘。利用限度額に対しても、所得の捕捉が完全にはできないため、利用者が虚偽の申告をする可能性が残るという。 
 規定が改定されることになったのは、昨年三月に米国系金融サービス大手シティバンク・インドネシアの支店内で、「取り立て屋」による顧客の虐殺事件が発生したのが一因。玉垣氏によると、同事件を受け、銀行の内部管理や監視体制強化などを求める声が中銀で強まったという。
 また、現行規定では、クレジットカード発行の基準が比較的甘く、信用力の低い人でも複数のクレジットカードを所有するなどして、多重債務に陥る例が増加していた。

■複利禁止は世界でまれ
 玉垣氏によると、世界でも複利計算を禁止するのは世界でも珍しいという。単利と複利の差額は銀行側が負担することになるため、カードの年会費と利子で稼いできた銀行は、利益が縮小する見込み。
 民間銀行はこれまで、特定のクレジットカード利用による割引キャンペーンなどを積極的に展開し、利用者獲得競争を繰り広げてきた。二〇〇七年末に九百十五万枚だった国内のクレジットカード保有枚数は昨年末に千四百七十九万枚まで増加。玉垣氏は「これまで年百万枚のペースで増え続けてきた発行数も頭打ちになるだろう」と見ている。

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