「偏向報道」⇔「公共の利益」 次期選挙に向けさや当て 民主党幹部がテレビ局批判
ユドヨノ大統領の出身母体で国会第一党・民主党が二〇一四年の総選挙・大統領選挙へ向け、ライバルの党と関係が深いテレビ局への攻撃を強めている。ラマダン・ポハン副幹事長は六日、ニュースを中心とした番組を放映している民間テレビ局のTVワンとメトロTVが民主党に関して「バランスの欠いた報道を行っている」と記者会見で語った。同党は先月末、テレビ番組の監視機関・国家放送委員会(KPI)に両局が「偏向報道を行っている」と訴えており、改めて批判した形。民主党は党中枢が関与したとされる汚職スキャンダルの連日の報道で支持率が低下。両局の経営には有力政治家が携わっていることも絡み、今後もさや当てが続きそうだ。
TVワンはゴルカル党のアブリザル・バクリー党首が率いるバクリー・グループが経営。メトロTVは次期選挙へ向けて新党・国民民主(ナスデム)党を立ち上げたスルヤ・パロ氏が保有している。
ラマダン副幹事長は両局が次期大統領選の出馬に意欲を示しているとされるオーナーの意向を反映して、民主党への攻撃を繰り返していると主張。「全国の党支部から同様の意見が寄せられており、党全体を代表した抗議の声だ」と強調した。
昨年八月に汚職撲滅委員会(KPK)に逮捕された党会計担当幹部のムハンマド・ナザルディン被告がアナス・ウルバニングルム党首を含む党幹部の汚職への関与を暴露して以来、TVワン、メトロTVの両局を含む各メディアがこのニュースを連日報道。汚職疑惑は民主党から国会第一党の奪還を狙うゴルカル党や野党、議席数を伸ばしたい新興政党にとって民主党攻撃の格好の材料となっている。
「偏向報道」とする民主党の主張に対し、メトロTVは「民主党は前回選挙で市民から大きな支持を得ており、民主党で何が起きているか報じることは公共の利益にかなっている」、TVワンも「報道はジャーナリズムの精神に基づいて行われている」と反論した。
一方で、両局ともオーナーの意向が反映しているとの主張を否定しているものの、メディアがオーナーの意向を反映した番組編成を行っているとの批判の声は民主党以外からも上がっており、国家放送委員会は国民民主党の広告放送を頻繁に行っているメトロTVに対して、放送倫理規定への違反がないか調査を進める方針を示している。