国境、言葉を超えて 全18曲を披露、観客引き込む ジャズで日イ共演
中央ジャカルタのフェアモントホテル内にあるライブ・レストラン「モーションブルー・ジャカルタ」で20、21両日、日本人ジャズピアニストの山野友佳子さん(29)とジャズシンガーの向香織さん(33)らがライブを開いた。インドネシア人ボサノヴァシンガーのメルシー・ドゥマイスさんらも加わり、日イの演奏家がジャズを通じて共演した。
2日間にわたり会場はほぼ満席。ビールが大好きと いう山野さんは、ジャズの名曲とともに、オリジナル曲「先取りビアガーデン」などを披露。向さんはインドネシア語で音楽家イスマイル・マルズキ(1914〜58年)の「ジュウィタ・マラム」、メルシーさんは日本語でサザンオールスターズの「いとしのエリー」など18曲を披露、観客をジャズの世界に引き込んだ。
向さんと山野さんは、日本で3年前に共演したことで知り合い、今回のライブにつながった。
台湾や香港、フランス、スペイン、イギリス、アメリカなどで公演してきた山野さんが、インドネシアで演奏するのは初めて。海外で演奏する場合、音響設備が整っていないことが多いが、「(モーションブルー・ジャカルタは)他国に比べて音響設備がしっかりしている。インドネシアでの第1回目の演奏が素敵な場所でうれしい」と笑顔で話した。
向さんは夫の駐在で1年前からジャカルタ在住。来イ後も音楽活動を続け、20回近くコンサートを開いてきた。モーションブルー・ジャカルタで歌うのは5月以来、2度目。「インドネシア人は踊ったり歌ったりするのが好きで、お客さんの盛り上げ方も上手。とにかくやりたいと希望する人には、まず1回はさせてもらえるから、チャンスが多い」という。
すでに次回のインドネシアでのコンサートの計画について話しているという2人。山野さんは「ジャズを演奏する時、音楽の中でキャッチボールのように会話するから、相手を知ることがとても大切。次回は少人数でお互いをよく知って、もっと上の演奏をしたい」と話す。
今回はギターやドラム、パーカッション、ベース、ボーカルを入れると6人と人数が多く、会って間もないまま限られた時間で音楽を作り上げたが、「それでも、共通の知っている曲があったり、国境や言葉を超えられるのはジャズの良いところ」と山野さん。
向さんは「互いの国を知ってほしい。日本からアーティストを呼ぶだけでなく、インドネシアの演奏家らと一緒に音楽をつくって行きたい」と意気込みを語った。(毛利春香、写真も)