経済特区で観光開発加速 ロンボク・マンダリカ 29年越しの実現
インドネシア政府は西ヌサトゥンガラ州ロンボク島経済特区(KEK)マンダリカでの開発を加速させる。観光開発計画が持ち上がってから29年間、土地収用の問題で実現していなかったが、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が20日、正式に経済特区として開発事業を開始させた。2020年に投資額は726兆ルピアに達し、5万8千人の雇用が生まれる見込み。
マンダリカは、16年に政府が進める観光開発の優先地域に指定された10地域のうちの一つ。広さは約1175ヘクタールで、開発事業はインドネシア観光開発公社(ITDC)が担当している。
バリに次ぐ観光地として、ホテルやコンベンションセンターの建設、浄水整備など、観光とインフラ開発を進めていく。
長年にわたり土地収用が難航した原因は、土地を所有する住民が売買に反対したり、地元行政が土地価格をつりあげていたためとされてきたが、ジョコウィ大統領によると、観光開発や土地収用に関する大統領通達がなかったため、地元行政らは売却に消極的になっていたという。ジョコウィ氏が15年4月に同地を訪問し、明らかになった。
ジョコウィ大統領は「法に沿った(マンダリカでの)開発や土地収用について明記した大統領通達を出したところ、2カ月足らずで土地収用が進んだ」と説明した。
さらに、契約が決まった投資家は6カ月以内に投資プロジェクトを開始しなかった場合、契約は破棄される▽ロンボク島の伝統的な建築デザインを取り入れる▽世界の観光基準に達した宿泊施設やレストランなどを整備する――ことを強調し、「青い海と緑ある美しい場所にしてほしい」と話した。
政府は1日3千トンの水を利用できるよう、4・1兆ルピアかけて水道を整備するほか、空港の滑走路の拡張、レンバル港の整備を進める。
また国内外の民間企業と協力し、2019年までに五つ星ホテルを含む七つのホテルを建設し、2千室が完成する予定。30年には最大1万室を用意するという。コンベンションセンターやモトGP(ロードレース世界選手権)用の会場も19年までに完成させる。
観光省が設立した優先10観光地促進ワーキングチームのヒラムシャ・サンブディ・ダイブ代表によると、現在は18件の投資案件があり、リゾート開発を手がける国内企業やアコーホテルズのプルマン・ホテル(本社フランス)やクラブメッド(同)のほか、韓国や米国、インド、マレーシアなどの企業と12案件で、すでに覚書(MOU)を結んだ。
外国直接投資額(FDI)は、13兆1千億ルピアに達している。(毛利春香)