既存路線を改良へ スラバヤ鉄道 時速160キロで走行
日本が事業可能性調査(FS)に参加しているジャカルタ〜スラバヤ間(約750キロ)の鉄道の準高速化構想について、来イした和泉洋人首相補佐官は6日、「既存路線を改良する案に決まった」と明らかにした。条件として、時速160キロでの走行を提示された。これまでに新路線の建設案なども出ていたが、インドネシア側が最終的な方針を固めたとみられる。これを受け、両国間で詳細を詰める。
和泉氏がブディ・カルヤ・スマディ運輸相との会談後、記者団に明らかにした。インドネシア側は「既存路線を改良し、時速160キロで走らせたい」と伝えたという。
和泉氏は「平面交差の踏切の改良が必要だが、立体交差化すれば、時速160キロは決して無理な数字ではない」と説明。詳細を決めるため、今週中にも、運輸省と国民住宅・公共事業省、国際協力機構(JICA)が協議する。
前日のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領との会談では、新路線の建設を含む複数の案から決めかねている状況で、和泉氏は「早く決めてほしい」旨を伝えていた。インドネシア側も案件を加速化したい考えで、6日にブディ運輸相とユスフ・カラ副大統領などが協議し、既存路線を改良する案でまとまったとみられる。
■ナトゥナ漁港整備
和泉氏は同日、スシ・プジアストゥティ海洋水産相と共同会見して離島開発や水産分野での協力具体策を発表した。リアウ諸島州ナトゥナ諸島で、漁港や魚市場整備を「来年にも着工したい」考えを示した。
漁港・市場整備は、日本が無償資金協力を行う考えで、同諸島のほか、サバン(アチェ州)、モロタイ(北マルク州)、ビアク(パプア州)、サウムラキ(マルク州)、モア(同)の離島5島で実施する。
このほか、水産物を運ぶ冷凍船の整備▽違法漁船監視のためのレーダー設置▽海洋分野での衛星技術の活用――などでも協力する。資金面などの協力方法は今後、詳細を検討する。
これらの協力策は、1月の両国首脳会談で離島開発協力が打ち出されてから「異例のスピード」(和泉氏)で決まった。和泉氏は「準備ができた案件から早く実施したい」とし、近く農林水産省の関係者らが来イして調査に乗り出す。
スシ氏は「互いに主権を尊重する国として、離島開発を通じて繁栄を築いていきたい」と協力への期待を述べた。(木村綾、写真も)