残留日本兵の軌跡たどる バリの吉井さんが自費出版
太平洋戦争終結後、バリ島で亡くなった日本兵について調べている同島在住の吉井洋司さん(71)が、これまでの調査結果を1冊の本「尊崇(そんすう)」にまとめて自費出版した。副題は「戦争が終わったバリ島で四十三名の日本兵が命を絶った理由」。インドネシアの再植民地化を試みたオランダを相手にバリ人とともに戦った残留日本兵ら43人の軌跡が紹介されている。
吉井さんは大型船の船長を長年務めた後、2007年にバリ島に移住した。以来、バリ文化や暮らしなどをブログで発信していたが、この中で触れた残留日本兵の話に対し、日本の遺族から情報や調査の依頼が寄せられた。
これをきっかけに7年間、バリ各地に足を運んで兵士らがいかに命を落としたかについてを調査した。43人の中には英雄墓地に葬られている14人が含まれている。
吉井さんは「戦時中、日本はバリの人たちに大変な迷惑をかけた。しかしバリのために尽くした日本人がいたことは今に語り継がれ、そのおかげで私たちが安心して暮らせる。そんな彼らに対する尊崇の念を一冊の本にまとめた」と話している。409ページ。1500円。詳細、購入は吉井さんのブログ(yosaku60.exblog.jp)から。(北井香織、写真も)