「元気な日本」アピール AKB48とJKT48共演 ポップフェス大盛況
「元気な日本」をアピールしようと、日本政府が日本のポップカルチャーを総合的に海外に紹介する初の事業として、二十五、二十六日の両日、ジャパン・ポップカルチャー・フェスティバルを開催した。来イした日本のトップアイドルAKB48が、ジャカルタで結成された姉妹グループJKT48と共演。インドネシアの熱狂的なJポップファンを中心とする三千人の観客を沸かせたほか、ショッピングモールでは買い物客らを前にイベントを盛り上げた。
二十五日、コンサート会場となった南ジャカルタのバライ・カルティニ。AKB48と書かれたTシャツを着たり、メンバーのうちわなどを持った多くのファンが、昼過ぎから数百メートルの列を作った。開門と同時に自分のブロックに向けて走り出す。ほの暗い会場の中では「AKB48、JKT48」と開演を待ちきれずに大歓声。たくさんのペンライトが激しく動いた。
午後六時、天井のライトがステージを照らす。バックステージから、AKB48の「おーっ」、JKT48の「トライ・トゥービー・ザ・ベスト」の掛け声が響いてきた。
午後六時半、ジャパン・ポップカルチャー・フェスティバルが開幕。鹿取克章・駐インドネシア日本大使は「昨年三月の震災から、日本は確実に復興しつつある。支援いただいたインドネシアに感謝したい」とあいさつ。
マリ・パンゲストゥ観光創造経済相は「『おしん』については良く知っている。『ハラジュク』や『ハローキティ』は日本のカワイイ文化」と大臣自ら日本の若者文化を紹介した。
AKB48の登場とともに会場が大きく揺れる。日本でミリオンセラーとなった「フライングゲット」「Everyday、カチューシャ 」「ポニーテールとシュシュ」などのヒット曲を次々と熱唱。JKT48は四曲目で、AKB48の「君のことが好きだから」のインドネシア語版を初めて披露した。
クライマックスには、AKB48とJKT48が初となるコラボレーションで「会いたかった」「ヘビーローテーション」を日本語で熱唱。約二時間のライブで計十五曲を披露した。
「AKB48にインドネシアに来てくれてありがとう、と伝えたい」。日本でのAKB48握手会に訪れたことがあるという熱狂的ファンのディマス・マウラナさん(二〇)は「AKB48にはもう会えないと思っていた。うれしすぎて言葉が出ない」と真っ赤になった目に涙を浮かべて語った。
AKB48メンバーの前田亜美さんは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のグーグルプラスで「ジャカルタ公演は楽しすぎた。ステージで躍りながら、幸せを感じました」と公演を振り返っている。そのほかのメンバーも、インドネシアで感じたことや公演でのファンの様子を、ウェブを通じ発信した。
フェスティバル二日目の二十六日は、中央ジャカルタのプラザ・スナヤンで開催。買い物客やポップカルチャー愛好者らに向けて、日本の文化を紹介した。外務省国際漫画賞授賞式、大使館などによる「風呂敷」デモンストレーション、日本政府観光局(JNTO)、全日本空輸(ANA)日本航空(JAL)による「VISIT JAPAN」などのブースが設けられたほか、AKB48の衣装紹介、JKT48がモデルを務めた「カワイイ」ファッションショー、ヘアメイクショーが行われた。
Jポップフェスは、日本の現代文化を発信するとともに、東日本大震災からの復興に向けた日本の元気な姿を伝えていくことが目的。
開催に当たり、日本の文化庁が予算を助成。国際交流基金、外務省、インドネシア観光創造経済省などからなる実行委員会がイベントを主催した。日本政府が日本のポップカルチャーを、総合的に海外に紹介する事業は世界でも初めてとなる。
今回来イしたAKB48は、昨年、オリコンのシングル売り上げ上位五曲を独占するなどして日本の音楽界をけん引するアイドル。日本で人気絶頂のアイドルがインドネシアで公演を行うのは過去に例がない。昨年から交流を深めてきた海外初の姉妹グループJKT48との共演は四回目。
二日間で一万人以上が来場する大規模なイベントとなったが、コンサート会場の観客収容数も限られており、チケットは抽選式。入手できなかった熱心なJポップファンも多い。「これをきっかけに、もっとたくさんの日本の歌手にインドネシアへ来てほしい」との声があちこちで聞かれた。