文化の多様性 全面に 独立72周年祝う 伝統衣装で相互尊重
72回目の独立記念日を迎えた17日、全国各地で独立を祝う催しが開かれた。中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)の記念式典では、ことし初めて政府高官や来賓が各地の伝統衣装を着用、文化の多様性を全面に押し出すことで国是「多様性の中の統一」の重要性を強調した。
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、南カリマンタン州タナブンブ県の伝統衣装を着用し、毎年恒例のスーツ姿から一変した。式典前には、東ジャワ州バニュワンギの伝統舞踊や独立戦争時の闘争歌などで来賓をもてなしたほか、伝統衣装を身に付けた出席者の中から「ベストドレッサー」5人を選び、大統領が自ら記念品の自転車を手渡す演出もあった。
昨年開始された一般公開のパレードがモナス(独立記念塔)広場を出発、騎馬隊や国旗掲揚隊がイスタナに向かって行進した。東ジャワ州ブリタル市の高校生が、モナスに保管されている国旗メラプティと独立宣言文を大統領に手渡し、国歌インドネシア・ラヤの演奏と共にイスタナ前にメラプティが掲揚された。
イスタナ内では歴代大統領がそろう珍しい一幕があった。ジョコウィ氏の呼びかけで、ハビビ第3代大統領やメガワティ第5代大統領、ユドヨノ第6代大統領が横一列になり、記念撮影に応じた。
確執が残るとされるメガワティ氏とユドヨノ氏が一緒に写真に収まるのはメガワティ政権(2001〜04年)以来。その後の10年間にわたるユドヨノ政権で、メガワティ氏はイスタナで行われる独立記念日の式典に一度も顔を出さず、反対にユドヨノ氏はことし初めて、ジョコウィ政権で3度目となる式典に出席した。ハビビ氏は式典後、地元メディアに「メガワティ氏とユドヨノ氏は握手を交わしていた」と明かし、友好ムードを伝えた。
一連の独立記念日の式典では伝統衣装を着用し、彩りを添えた。各自の出身地の衣装にせず、あえて別の地域の衣装を身に付けることで、異なる文化を尊重する意味を込めた。
16日に国会議事堂で行われた国家演説(施政方針演説)では、中部ジャワ州ソロ出身のジョコウィ大統領が南スラウェシ州マカッサルのブギス人の伝統衣装を、マカッサル出身のユスフ・カラ副大統領がジャワ人の伝統衣装で出席した。
大統領は、国民協議会(MPR)と国会(DPR)・地方代表議会(DPD)の演説で、国家統一の精神の重要性を強調し、「遠隔地や国境付近の国民も国の存在を感じられるよう、開発を行き届かせなければならない」と訴えた。(配島克彦、アリョ・テジョ、8面に関連)