日イ友好促進の場に イ政府からの寄付金で 図書館に子ども館建設 被災地の宮城・気仙沼 来年3月、オープンへ
宮城県気仙沼市に2018年3月末に開館する気仙沼図書館の新館内に「ユドヨノ友好子ども館」が設置される。建設費には東日本大震災の被害状況を視察するため11年6月、同市を訪れたユドヨノ前大統領が寄付したインドネシア政府からの災害復興資金が充てられた。同政府から本も寄贈される予定で、図書館を通じた日イ交流の促進が期待される。
住宅や職場の復旧が優先される中、新館の建設はユドヨノ氏の被災地視察から約5年後の16年4月に始まった。建設費はインドネシア政府からの寄付金200万ドルを含め約20億円。2階建てで、延べ床面積は約3200平方メートル。ユドヨノ友好子ども館は1階南西部分に位置し、同350平方メートル。
子ども館の名称は、13年11月に気仙沼市の菅原茂市長(59)が訪イし、当時大統領だったユドヨノ氏を表敬訪問した時に直接提案し、その場で快諾された。この時、市長に同行した気仙沼図書館の熊谷英樹館長(63)によると、「ユドヨノ氏は(寄付金を)未来の子どもたちのために使ってほしいと話していた」という。
同市には水産加工場や船員として働くインドネシアからの技能実習生が多く滞在しており、熊谷館長は「子ども館に日本語学習や日本の生活習慣、インドネシアの書籍や情報誌などを所蔵したい。先の話だが日本語や日本の生活習慣の講習も計画したい」と話す。
東日本大震災で高台にあった旧図書館は1、2階の接続部分や支柱が壊れるなどして半壊状態になった。2階部分は立ち入り禁止になったが、震災直後の11年3月30日に、菅原市長が「情報収集や交流の場として被災者のよりどころにしたい」と開館させ、被災者の憩いの場となっていた。
ユドヨノ氏は11年6月に被災地を視察した際、被災者を励ます直筆のメッセージをしたためて気仙沼市に寄贈した。子ども館入り口には、この時の「GANBARE NIPPON(ガンバレ・ニッポン)!」という文字と、インドネシア国民からの「日本国民の皆様が東日本大震災に立ち向かう中で堅忍され早急に復興されることを祈念して」というメッセージを添えたプレートが設置される。
同市では今月5、6両日、夏の風物詩「気仙沼みなとまつり」が開催された。祭り見物に訪れたアリフィン・タスリフ駐日インドネシア大使は、図書館の建設現場を視察し「インドネシアからも本を寄贈したい」と述べ、自身も8冊を寄贈した。(中島昭浩)