初の宇宙利用セミナー 日イ共催 海洋分野の衛星技術紹介
日本の衛星技術の国内実用化に向けた初の「宇宙利用セミナー」が2日、中央ジャカルタのケンピンスキ・グランドボールルームで開かれた。両国の産官学の専門家が海洋分野に関する衛星技術を紹介。120人を超える参加者が熱心に耳を傾けた。
日本の内閣府と国際協力機構(JICA)、インドネシアの海事調整省と海洋水産省が共催した。昨年12月に日イ両国間で交わした海洋フォーラム立ち上げのための覚書に基づく。ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)が後援し、日系企業に参加を呼び掛けた。
冒頭には、内閣官房の木山繁参与と石井正文駐インドネシア日本大使、スシ・プジアストゥティ海洋水産相が基調講演した。同相は「衛星技術の協力は日イ両国にとって非常に重要」と述べ、漁場管理や違法・無報告・無規制(IUU)漁業の監視、養殖などに活用していくと説明した。
セミナーでは漁場の探索、漁船監視、養殖場の遠隔管理などの技術が紹介された。インドネシア側からは気象分野など他分野への活用に関する質問や超小型衛星の自国開発に向けた切実な意見が聞かれた。
内閣府のアドバイザーで東京大学空間情報科学研究センターの柴崎亮介教授は「ここから始めますではなく、実現に向けて動いている。今回は(双方の)紹介の意味合いが強い」と振り返った。
ことし6月末に東京で東京、山口の両大学の協力で衛星データ利用に関する協議を実施。実現に向けた動きが活発化している。(中島昭浩)