【スラマット・ダタン】 日系企業の活動基盤整備を インドネシア三井住友銀行新社長・平山雅也さん
インドネシア三井住友銀行の新社長に平山雅也さん(五〇)が就任した。
シンガポール、ベトナムに次ぐ三カ国目の駐在。学生時代に所属したESS(英会話部)でシーレーン防衛などについてディスカッションし、東南アジアの地政学的な重要性に触れたこともあり、学生時代から東南アジアは「よって立つ場所。日本人と互いに尊敬することのできる人たち」との思いがあった。「銀行員としてアジアで過ごせて幸せ」と語る。
シンガポール駐在時代にインドネシアに日帰り出張すること十数回。「今のジャカルタは二〇〇一年のシンガポールの状況と似ている。最近の発展ぶりには驚かされる。以前は『警戒していないと危なそう』というような感じで、街の雰囲気がぎらぎらしていた。今はセキュリティーチェックをしている人たちがほのぼのとした感じに変わり、明るい街になった」と話す。
インドネシアへの投資ラッシュが続き、日系企業の厚みが増してきている。「数年後のジャカルタはタイのようになるかもしれない」と期待を膨らませる。
インドネシアに進出している企業に対しては、情報の提供にも力を入れていく。一〇〇%子会社の日興証券からの情報も活用し、顧客企業が本社の理解を得ることができるように支援するという意味でも情報把握に努めたいという。「うるさいと言われるぐらい情報発信していきたい」と平山さん。
融資面ではインフラ分野をはじめとする政府系のほか、インドネシア企業のプロジェクトなどにも注力し、日系企業が物を売りやすい環境を整備したいと意気込む。目指すのは、インドネシア経済に貢献できる銀行だ。
新規進出や事業拡大が相次ぐ工業団地内の企業に対しては、出張所などがないことで不便を感じさせないようにインターネットバンキングや書類授受サービスなどを行っていく方針。まずはジャカルタから足場を固め徐々に地方に展開していく。
「現在、インドネシア国民の間で経済成長が必要とのコンセンサスが取れていると思う。あとは、日系企業が成長をどれだけ取り込むことができるかが課題だ」と語った。
◇ 平山雅也(ひらやま・まさや)
1961年10月、愛知県一宮生まれ。立命館大学経済学部卒。国内留学で新潟の国際大学大学院を修了した。
85年に住友銀行入行。大阪本店で営業部、東京本部で証券を担当。ディーリングルームの本部、シンガポール部を経て04年から08年までシンガポール支店のシンガポール副支店長。08年にはベトナムのハノイ支店の立ち上げに携わる。11年8月末から日系企業の海外進出を支援するグローバルアドバイザリング部でベトナムを担当。今年1月25日からインドネシア三井住友銀行社長。