首都移転 調査本格化 候補地にカリマンタン島 バペナス主導民間資金活用
首都機能をジャカルタから地方へ移そうという議論が活発化している。バンバン・ブロジョヌゴロ国家開発計画相は3日、「2018年か19年にも、中央政府の機能移転に関わる活動を始める」と明かした。カリマンタン島への移転案が浮上しており、年内にも調査を完了するとしている。
首都機能移転は、ジャカルタの一極集中を改め、大統領府や省庁などの行政機能を地方に移そうという計画。首都圏と地方の経済格差を埋める目的もあり、移転先はジャワ島外との見方が強い。
地元メディアによると、バンバン氏は3日にジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領と首都移転計画について会談、移転に向けた調査を年内に完了すると伝えた。
バンバン氏は、18年以降に中央政府の機能移転に取りかかり、「基礎的なインフラや政府機関の建物を完成させるのに、3〜4年はかかる」と説明。国家開発計画省(バペナス)が主導し、複数の省庁が協力するとしている。
移転には多額の費用が見込まれるが、民間資金を活用したPPP(官民パートナーシップ)で資金を調達したい考えを示した。
移転先は未定としているが、候補地として中部カリマンタンの州都、パランカラヤ市が浮上している。
首都移転論は歴代政権が議論してきた。パランカラヤ市はスカルノ初代大統領が主導し1957年に建設された人工都市で、当時から首都移転構想があった。ユドヨノ前大統領も、ジャカルタの渋滞解消策としてパランカラヤ市や西ジャワ州ジョンゴルへの首都機能移転を検討していたが、実現には至らなかった。
パランカラヤ市のウェブサイトによると、面積は約2678平方キロメートルとジャカルタ特別州の約4倍。人口は同特別州の約40分の1に当たる約26万人(2015年現在)と小規模だが、地震などの自然災害が起きにくい立地を評価する声もある。
移転論が再浮上していることについて、中部カリマンタン州のスギアント・サブラン知事は地元メディアに「計画が実現することを願っている」と歓迎的だ。
一方、国民協議会(MPR)のズルキフリ・ハサン議長は4日、「首都移転の夢は先の話。ジョコウィ大統領は発電所や高速道路、ダムなど、公約のインフラ建設を優先させるべきだ」と述べ、ユスフ・カラ副大統領は「まだ検討中だ」と話した。(木村綾)