伊藤忠、リッポーと合弁 日本型病院 東南アジアで展開
伊藤忠商事は27日、リッポーグループの中核企業リッポーカラワチとの協業による病院運営事業に乗り出すと発表した。インドネシア、ベトナム、ミャンマーなどアジア各国で日本型病院の設立を目指す。
両社は年内にシンガポールに、リッポー側が過半を出資する合弁企業を立ち上げる方針だ。
病院建設への投資や建設、運営についての事業精査を共同で行う。具体的な買収および新建設の計画は発表していない。今後の調査で出資先を選ぶもよう。
伊藤忠は日本国内で神戸市立中央市民病院の経営を請け負っており、そのノウハウを生かす。「関連会社による医療機器の販売や給食の用意など、非医療分野を総合的に担っていく。日本から人材を派遣する形も考えられる」(伊藤忠広報)という。
リッポーは先進的な病院「シロアム病院」を国内19都市で展開。ジェームス・リアディ最高経営責任者(CEO)が2015年4月時点で、東南アジア各国30都市で病院を運営するプランを表明している。現状はミャンマーで2軒の病院を運営するにとどまっているが、伊藤忠との提携により病院のソフト面を強化することができる。
人口増大に反応した、アジアの医療市場の開拓をめぐる日本企業の競争は激しい。伊藤忠は16年から資本提携する中国の国有複合企業の中国中信集団(CITIC)グループと、事業化に向けて動いており、今回の提携はそれに続く戦略だ。
ことし3月には三菱商事がミャンマーで病院事業に参入すると発表、三井物産もマレーシアの企業に出資している。プラント建設大手日揮は16年にカンボジアで病院を建設、運営にも携わっている。(平野慧)