目黒にモスク完成 構想18年 「イ人を結ぶ場に」
東京都目黒区の東京インドネシア人学校敷地内にモスク「マスジッド・インドネシア」が完成し、ラマダン(断食月)前日の5月26日、開所式が行われた。構想から18年。2億円近い寄付金を集めて実現した。日本で初めてのインドネシア・モスクで、「日本に住むムスリムの仲間を一つに結ぶ場所になってほしい」との期待が込められている。
在日インドネシアムスリム協会(KMII)が1999年、構想に着手した。当初は建設地や資金の確保で苦労したが、ユスフ・カラ副大統領とジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の訪日を機に2014年以降、インドネシア人学校内の土地の利用許可が下り、道が開けた。地元企業や政治家からの寄付、クラウドファンディングなどを通じてことし3月までに集まった寄付金は、総額1億9270万円に達した。
モスクは地下1階、地上2階建てで、延べ床面積は約350平方メートル。男女別の礼拝スペースがあり、計約230人を収容できる。日本在住30年になる会社員のバンバン・スナルトさん(50)は「レバラン(断食月明け大祭)に大勢が集まれる場所がなく、困っていた。日本でインドネシアのモスクは初めてで、すごくうれしい」と完成を喜ぶ。
これまで金曜礼拝時などは、インドネシア人学校の体育館を利用していた。かつてはインドネシア大使館関係者らが主な利用者だったが、留学生や研修生、介護福祉士など、在日インドネシア人の多様化に伴い、礼拝に訪れる人も増えた。レバランには関東各地から約4千人が学校に集まり、体育館に入りきらず、教室や廊下にもマットを敷いて祈ることもあったという。
今月4日には訪日したカラ副大統領が訪れ、在日インドネシア人らと共に夜の礼拝を行い、「日本で学んだり働いたりしている皆さん、このモスクが周辺に住む人たちの繁栄にもつながるようにしてほしい」と述べた。
モスクの建設責任者を務めた大学教員のムハンマド・アズィズさん(37)は「宗教的な教育や礼拝場所だけでなく、インドネシア人ムスリムが絆をつくる場所になってほしい。今後は周辺の日本人の方とももっと交流ができれば」と話している。(木村綾)