プレ・フィード開始へ エネ鉱省 マセラ鉱区開発
エネルギー鉱物資源省は29日、東南アジア最大級のガス田・アラフラ海マセラ鉱区アバディ液化天然ガス(LNG)開発について、プレ・フィード(プラントの基本設計業務の予備段階)を開始することを明らかにした。
地元メディアによると、石油・ガス上流事業監督機関SKKミガスは先週、65%の権益を持ち、オペレーターとして開発にあたる国際石油開発帝石(INPEX)に対してプレ・フィードの初期段階に入るように指示、開発に向けて一歩前進した格好だ。
同鉱区開発をめぐっては、当初洋上に液化天然ガス(LNG)プラントを浮かべる方式で調査を進めていたが、2016年3月に地元の経済活性化などを理由に陸上建設案で推進する政府方針が決定した。
INPEXは開発計画の再調整や、産出国と生産物を分け合う権益の期限を28年から38年までに延長する交渉などが続いていた。
イグナシウス・ジョナン・エネ鉱相は3日、開発で遅れを見せた場合、INPEXへの開発承認を撤回する可能性を示唆。16日に東京の同社本社を訪れ北村俊昭社長と会談し、一転して合意形成を進めていた。
インドネシア側が開発加速を急ぐ背景には、14年から始まった原油価格低迷により、打撃を受けたエネルギー産業の復調を図りたい思惑がある。
日刊紙コンパスによると、16年の石油・ガス分野への投資額は111億ドルで15年の153億ドルから大きく減少。開発事業領域も12年の233カ所から16年は199カ所に減少している。
インドネシア石油協会(IPA)のクリスティナ・ベルチェレ会長は今月開かれた年次総会で「世界全体が限られた資金を(投資に)回している。我々も適合した形で計画を見直していかなければならない」と危機感をあらわにした。
最大で10兆7千億立方フィートのガス埋蔵量を見込む同鉱区開発については19年までに着工、26年生産開始を目指している。(平野慧)