プリオク港 高速開通 物流費3割削減に 着工から9年
ジャカルタ外環道路(JORR)の一部となるタンジュンプリオク港アクセス高速道路(全長11.4キロ)が16日、開通した。着工から約9年。日本の円借款が供与され、複数の日本企業と地場企業が建設に携わり、紆余曲折を経て完成にこぎ着けた。国内最大の港湾、タンジュンプリオクのアクセス改善につながり、物流費削減が期待される。
開通した道路は、東ジャカルタ・チャワンとタンジュンプリオクをつなぎ、渋滞緩和や貨物の滞留時間の短縮にもつながる見通し。公共事業・国民住宅省は道路開通で、一般的に物流費が3割削減できるとしている。同省の高速道路調整機関(BPJT)によると16日から通行を開始、約1カ月間は料金を無料にする。
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が15日、北ジャカルタ・州立コジャ病院の高架部分で、開通式典を開いた。コンテナを積んだ大型トラックで渋滞する港湾付近の高架道路が完成したことで、大統領は「シンガポールの港ではなく、タンジュンプリオク港を利用する企業が増える」と期待を表明、タンジュンプリオク港の競争力強化につながると強調した。
工期は用地の収用問題と、品質不備による一部作り直しで、構想から開通まで計画よりも大幅に遅れた。
ジョコウィ大統領も式典のあいさつで、物流改善への期待を示しながら工期の遅れに言及、「ジャカルタ特別州の知事時代から把握している案件だが、何度も用地収用の問題が起きた」と説明。橋脚の作り直しでも遅れたと指摘した。
橋脚の作り直しは、タンジュンプリオク港付近の高架部分を建設中の2014年4月、橋脚部分に不備がみられたため、検査したところ、コンクリートの強度に問題があることが判明。日本側の担当だった鹿島建設が費用を負担し、造りかけた橋脚を破壊、品質最優先を掲げ作り直してきた経緯がある。(佐藤拓也)