カンプンに線路敷設 土地収用が終わらず スカルノハッタ空港鉄道
南ジャカルタ・マンガライ駅〜スカルノハッタ空港(バンテン州タンゲラン)を結ぶ空港鉄道の建設工事で、線路の敷設が滞っている。土地収用が完了していないのは、タンゲラン市のバトゥチェペル駅〜空港間で新設する線路の用地32カ所。線路は住宅やモスク、共同墓地なども通り、空港裏手に広がるカンプン(下町)の姿が変わろうとしている。
空港鉄道は南ジャカルタ区マンガライ駅〜スカルノハッタ空港駅を結ぶ全長約36キロ。問題となっている土地は、空港の南約1.5キロの場所にあるバトゥチェペル駅の西側、タナ・ティンギ村の32カ所。国鉄(KAI)は32カ所に対し、620億ルピアを用意している。
同村のドゥンキ村長らによると、同村の地価は1平方メートル当たり約300万ルピアだが、政府側は同600万ルピアを提示。同1千万ルピア以上を要求する地権者もいる。
土地争議の裁判は現在もタンゲラン地裁で続いているが、タンゲラン市によると裁判での主な争点は土地価格ではなく、複数いる地権者同士や家族間で受け取る補償金の配分や相続でもめているという。
一方、同村にあるゴチェロン共同墓地も線路が通る場所となったため、3月中旬から移転作業が始まった。196基のうち約150基の墓の遺骨が掘り起こされ、約2キロ離れた代替地で再埋葬する。住宅が並ぶ路地からさらに奥に入ったところにある墓地は12日、人気がなく閑散とし、壊された墓や掘り起こす際にできた穴があちこちに開いていた。
ブディ・カルヤ・スマディ運輸相は3月、空港鉄道は7月開通を目指すと発表。料金は10万〜15万ルピアとなる見込み。(毛利春香、写真も)