グーグル52億ルピアのみ 15年納税額 広告収入課税、交渉続く
経済紙コンタンなどの調べによると、グーグルが2015年にインドネシアに納税した額は約52億ルピアだった。財務省税務総局は、インドネシアでの経済活動に対しグーグルの納税額が少ないと主張、インターネット広告収入に対する税金をどの国で支払うかをめぐり、両者の交渉が続いている。
アーンスト・アンド・ヤング(EY)がインドネシアの売り上げを計上しているシンガポールの拠点、グーグル・アジア・パシフィックの監査を実施した。
15年にグーグル・インドネシアの課税対象となった利益分は208億8千万ルピア。対象額に税率25%が課され、52億ルピアをインドネシアに納税した。
この金額が少ないとの指摘が上がっている。地元メディアによると、シンガポールのグーグル・アジア・パシフィックの15年売上高のうちインドネシアから得られた売り上げが55%相当を占めたという。税務専門家は税金の滞納額も含め、15年に課税されるべき金額は、実際に支払った金額の数十倍以上の納税義務があったとの見方を示している。
両者は昨年、グーグルが税務総局の税務調査の依頼を拒否したことをきっかけに、グーグルが公正な納税額を支払っていない疑惑が浮上し、交渉が続いている。
グーグルに対するインドネシア当局の対応は、今後他の多国籍企業にも影響するとみられる。海外にも拠点を置く企業が税逃れのために税率の低い国で支払う動きに対し、インドネシア政府は徴税を強化する考え。
政府は昨年9月、イスタナ(大統領宮殿)でグーグルの税金問題を話し合う関係閣僚会議を開催。閣議後、スリ・ムルヤニ財務相はグーグルに対し、法人税などの課税対象になる「恒久的施設」(PE)とみなし、インドネシアの利益分に対し課税する意向を強調した。区分があいまいなインターネット広告の利益をどこまでインドネシア側に支払うのかも議論してきた。税務総局は1月、15年売上高は6兆ルピアに達するとの推計を示している。
グーグルの税務調査を担当するムハマッド・ハニフ氏は今回の報告書の詳細についてコメントを控えている。地元メディアによると、当局はグーグルにインドネシアでの取引の履歴を公開するよう求め、4月中に一定額を納税するよう働きかけている。(佐藤拓也)