スタートアップ1000社支援 ブコピン銀行6都市で展開 フィンテック事業に3000億ルピア 農業・酪農・保健・漁業

 民間中堅銀行ブコピン銀行は、フィンテック(金融・IT)のスタートアップ企業支援プログラム「BNVラボ」を開始した。国内6都市で募集した千社を対象に、農業や酪農、漁業、保健分野の事業者と中小零細企業の経済活動を促進するため、インターネットを通じた銀行サービス開発に注力する。投資総額は約3千億ルピア。
 ブコピン銀は昨年、ジャカルタ特別州と東ジャワ州スラバヤとマラン、西ジャワ州バンドン、中部ジャワ州スマラン、ジョクジャカルタ特別州でスタートアップ企業を募集。応募総数3354社から選んだ千社を対象に、スタートアップ支援企業「キバル」と共にBNVラボで支援する。選考通過企業同士や既存企業との共同事業を実施する予定。 
 ルディアンタラ通信情報相によると、国内の携帯電話利用者約1億7千万人の76%に当たる1億3千万人がインターネットを利用。このうち銀行口座を持っている人は約8千万人と61・5%にとどまる。同銀は残りの4割に、農業や酪農、保健、漁業を営む事業者、中小零細企業が多いとみている。 
 選考通過企業の一つ、オーガニック農業開発「iグロウ」は、ネットを通じて出資者と農家を仲介する「ソーシャルレンディング」で、これまでに2200の農家を支援してきた。作物を植える準備が整った農地の情報を投資家に公開し、投資があれば植え付けを始める。現時点で1200ヘクタールの農地が植え付け済みで、千ヘクタールの農地で収穫を迎えているという。 
 アンドレアス・センジャヤ最高経営責任者(CEO)は「農家への支払いは現金払い。銀行に直接アクセスできるように農家の口座開設を支援したい」と語った。 
 政府は現在、国内全土を結ぶ高速通信網の敷設を進めており、2019年から運用開始を予定。通信環境が整えば、ネット利用者数がさらに増加するのは確実で、ブコピン銀はインターネットバンキングなどを簡単に利用できる仕組みを開発し、先行投資で今後の需要を取り込みたい考え。中銀は16年11月にフィンテックに特化した事務所を開設。1・6兆ルピアの潜在需要を見込んでいる。 
 ルディアンタラ通信情報相は「国内の銀行は新たな消費者金融サービスの形態を考えなければならない時期」と述べ、経済成長につながる努力を期待していると呼びかけた。 
 金融庁(OJK)の統計では、フィンテックを事業とする企業は600社あり、うち157社がOJKに活動を報告している。OJKは16年、外国企業による国内のフィンテック企業への出資比率は最大85%と規定した。(中島昭浩)

経済 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly