一喜一憂の3候補 ジャカルタ知事選投開票

 ジャカルタ特別州知事選の投開票が行われた15日。3カ月半に及ぶ「第1ラウンド」を戦った3候補、開票経過に一喜一憂する支持者らの表情を追った。
■「戦いは終わらず」 アホック氏 決戦投票見据え
 午前9時40分、北ジャカルタ・パンタイムティアラの投票所に妻と長男と共に現れたアホック知事。コーラン侮辱発言の「渦中の人物」への関心は高く、海外メディアを含む報道陣約100人が駆け付けた。
 午後3時、中央ジャカルタ・メンテンの選対本部内の会場には投票を終えた支援者と報道陣が詰め掛け、すし詰め状態でテレビの開票速報を見守った。半屋外の会場は足の踏み場もなく、木によじ登って写真を撮ろうとする記者もいるほど。アホック氏優勢が伝えられると、得票率が1%増えるごとに「2番」コールや歓声が飛び、選対内は熱気を帯びた。
 一方、午後4時20分ごろ、支援者の前に姿を見せたアホック氏は冷静だった。笑顔で支援者に感謝する傍ら、「戦いはまだ終わっていない」とスピーチ。ジャロット副知事ともども真剣な顔つきを見せた。
 選対本部でステージに立ったのは約10分。アホック氏が足早に向かったのは、スナヤンのフェアモント・ホテル。ゴルカル党幹部らに謝意を伝えた後、さらに闘争民主党(PDIP)のメガワティ党首宅へと急いだ。(木村綾)
■「信頼された証」 アニス氏 支持者らに感謝
 南ジャカルタ区西チランダックのアルム・ワルナ礼拝所に設けられた第28投票所。アニス・バスウェダン候補が投票に訪れると聞きつけた地元メディア数十社の記者、カメラマン約30人が集まった。
 午前8時55分。アニス氏が妻と子ども3人と共に投票所に訪れた。150番目の投票者受け付け、投票用紙をもらう場面など、一挙手一投足の写真撮影を求められても、余裕の笑顔でこなす。投票後は「自分のペチ(帽子)に(投票所備え付けのくぎで)穴を開けたよ」と冗談を飛ばした。
 ペアを組む副大統領候補のサンディアガ氏と選対本部で合流し、支持政党の一つ、グリンドラ党の南ジャカルタ・ラグナンにある党本部で会見に臨んだ。
 冒頭、選対本部は独自集計で「得票率約42%で4月の決選投票行きが決まった」と宣言。アニス氏は同席したプラボウォ党首ら党幹部、支援者へ感謝の気持ちを伝え、「(結果は)メッセージが信頼された証。(4月の決戦投票までの)長い道のりにも誠実に取り組む」と決意した。日本との関係については「親友とも言える長い関係。いろいろな協力が今後も見られるだろう」と語った。(中島昭浩)
■支持者はまばら アグス氏 予定時刻に現れず
 中央ジャカルタ・プロクラマシ通りに設けられた、アグス・シルフィアナ組の選対本部。
 内部にはステージとスクリーンが設置され、午後2時前には開票状況が映し出されていたが、すぐに敗北決定が明らかになり数十分後に映像が打ち切られた。
 アグス、シルフィアナ両氏は午後1時半に選対を入りし、支持者と一緒に開票を見守る予定だった。シルフィアナ副知事候補は入り口で車を降りた後、メディアから隠れるように別室へ。その後、ステージに上がることなく車で立ち去った。
 両氏は午後6時をすぎても会見を開かず、ステージに姿を見せなかった。
 会場を訪れた支持者はまばら。投票後にかけつけた中央ジャカルタ・サレンバ在住の主婦、リスナワティさん(64)は「アグスの全てが好き」と支持理由を熱弁していたが、敗北が確定したことを知って会場を後にした。待っているのはほぼメディア関係者だけだった。(毛利春香)

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