田舎道に二輪車殺到 最賃デモの裏側で 渡し船大繁盛
一月二十七日、最賃デモで深刻な渋滞に見舞われた西ジャワ州ブカシ県。デモが終盤に差し掛かった午後五時ごろ、同県チビトゥン付近の水田地帯にある抜け道には、ブカシ市方面への帰路につくオートバイが殺到していた。
周囲は水田や畑が広がり、牛やニワトリが放し飼いにされたのどかなジャワの田舎。抜け道はときにカンプンのど真ん中やぬかるんだあぜ道に入り込む。もちろん舗装はなく、赤土がむきだしの難所続きだが、オートバイ通勤者たちはものともせず、車体を揺らしながら進んでいく。
チビトゥン周辺の水路では、ラキット(渡し船)が両岸を忙しく往来していた。オートバイごと乗ると管理者がロープを引く。木造の古い船だが安定している。一渡りで二千ルピア(約十七円)。岸には乗船を待つオートバイの長蛇の列ができた。
人もまばらの農村地域を抜ける間、しばしばベンシン屋(ガソリン売店)やキオス(売店)が目に付き、普段から交通量があることを物語る。同県内の市街地を抜く高速道路を、オートバイは走れない。オジェック(バイクタクシー)運転手のジニさんは「夕方になるといつも、これくらいのオートバイが通っている。皆ブカシ市方面へ向かっているんだよ」と話した。