実はイ政府が賃貸? タムリン通りの英大使館跡地 根拠は55年前の契約書 買い取り計画、棚上げに

 中央ジャカルタ・タムリン通り沿いにある在インドネシア英国大使館跡地の買い取り問題で、インドネシア政府が跡地を所有し、同大使館に賃貸していた可能性が新たに浮上した。根拠は1961年に結ばれた、土地使用権に関する契約書で、同大使館側が跡地を借り受けていたという。英国側に所有権があるとの前提で、跡地買い取り交渉を進めてきたイ政府側は一転、滞納した使用料支払いなどを求める構えだ。
 跡地は、ホテルインドネシア前ロータリーに面する一等地。跡地買い取りを計画していたジャカルタ特別州政府は、買い取り手続きと再開発計画を一時棚上げ。ソニ・スマルソノ知事代行は「イ政府の土地であるならば、購入する必要はない。引き続き調査し、所有者を明確にしなければならない」と述べ、所有権の所在確定を待つ考えだ。
 インドネシア政府の跡地所有権を裏付ける根拠とされるのは、1961年11月、政府と英国大使館の間で交わされた土地使用権に関する契約書。
 国土庁(BPN)によると、契約はオランダ植民地時代の1940年12月に発令された農業大臣令に基づいて結ばれ、英国大使館側が土地使用料として毎年6万3千ルピアをイ政府に支払う内容だった。
 しかし、使用料は61年以降、一度も支払われず、イ政府側も請求していなかったという。
 ジャカルタ特別州のムクリシン・ジャファル公園墓地局長によると、現在、過去約55年間の使用料総額を算出中。地価変動を考慮しなければならないため時間がかかっているという。同局長は「英国大使館は使用料支払いの義務がある。支払いが完了した後、今後の対応を考える」と話した。
 英国大使館跡地の広さは約5千平方メートル。州政府と同大使館は8月下旬、州政府側が4790億ルピアで買い取ることで合意した。これを受け、州知事選(2017年2月15日投開票)に出馬中のアホック知事とジャロット副知事は、公共交通監視塔や文化施設、公園建設など跡地再開発計画を発表した。
 英国大使館は2013年、南ジャカルタ・ラスナサイド通りへ移転したが、跡地には現在も旧大使館の建物が残り、部外者の立ち入りはできない。(毛利春香、写真も)

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