クンダル工業団地開所 シンガポールと共同開発 大統領「両国間の象徴に」 中部ジャワ州スマラン西郊

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領とシンガポールのリー・シェンロン首相は14日、中部ジャワ州クンダル県に新設された工業団地を視察した。住宅施設や商業施設を兼ねる工業団地はシンガポールの政府系企業、セムコープと不動産開発ジャバベカ社の共同事業。政府は両国首脳で工業団地を視察し、首都圏以外への投資の呼び水としたい考え。 

 クンダル工業団地は中部ジャワの州都スマランから西に約20キロに位置する。シンガポールの企業による大規模な工業団地開発はリアウ諸島州バタム島以外では初めて。
 当初8月に予定されていたリー首相の来イに合わせ、クンダル工業団地の開業式を開く予定だったが、体調不良のため延期。再度日程を調整して式典が行われた。
 ジョコウィ大統領は式典のあいさつで、国交樹立50周年を控え「この工業団地は両国間の協力関係における、新たな象徴となる」と強調した。優先国家事業を明記した大統領令(2016年第3号)にはクンダル工業団地が含まれ、首都圏や西ジャワ州以外へ投資を呼び込みたい政府の意向がにじむ。
 団地内にはシンガポールの高級家具メーカー、タット・ワイがすでに工場を設立、操業を始めた。ほかにマレーシアや日本など外資企業の投資が決まっているという。
 クンダル県の最低賃金はジャカルタ特別州の約半分でカンボジアやベトナムと比べても競争力がある。地価は条件にもよるが、「ジャカルタの3分の1ほど」(セムコープ幹部)。関係者は「スマラン近辺の工業団地は、地価がジャカルタと変わらないほど高騰している場所があった。クンダル工業団地の開業で供給が増え、価格が元に戻るのでは」と期待する。
 電力やガスといった地方共通の課題であるインフラについては、ジョコウィ大統領が「問題はあるが、閣僚に解決するよう指示した」と強調した。
 ジャバベカの合弁企業であるセムコープの筆頭株主はシンガポール航空なども手がける政府系投資会社、テマセク・ホールディングス。スマランのアフマッド・ヤニ空港にはシンガポール航空の子会社、シルクエアが直行便を飛ばしている。テマセク・ホールディングスの最高経営責任者(CEO)はリー首相夫人のホー・チン氏。同氏は式典にも足を運んだ。
 合弁会社の資本金は1兆3千億ルピアで、株式保有比率はジャバベカが51%、セムコープが49%。最終的に2700ヘクタールの土地を使い工業団地のほかに商業・住宅施設を備えた複合型の施設となる計画。
 「初のファッションに特化した街にもなる」(ジャバベカ、ブディアント・ライマン社長)と話すように、デザインから原料の調達、販売、展示会、研究開発センターを入居させる計画もあるという。ブディアント社長は「第1期(860ヘクタール)が完売するころには50万人の雇用を創出できる」と期待を込めた。
 13日に会見したレトノ・マルスディ外相は「シンガポールがインドネシアにとって重要なのは投資額を見ればわかる」と説明。近年シンガポールのインドネシアへの直接投資額は常に上位に入り、ことし1〜9月は71億ドルで首位、全体の額の3割を超える。14日の首脳会談では観光やエネルギーなどの経済分野を中心に協力を強化する覚書を結んだ。(佐藤拓也、写真も)

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